クラシックカメラの話題集

ボルタ判であそぼ 謎のバンタム判 愛しのコニレット 日本製B級ブランド テッシナの秘密 プアマンズライカ


キュートな一眼レフ                 
                オリンパスOM−1 フジカST605  ペンタックスMV1  キャノンAV-1
                ニコンEM ニコンFG-20 コシナCT1

1970年代に入ると大きくて重かった一眼レフをコンパクトにする動きが始まった。嚆矢は1972年のオリンパス0M−1である。ボディーの幅は136mmで、それまでの一眼レフの幅を10mmもカットし、重さも500gを切っていた。大好評を博したオリンパスに続いて、各社がコンパクト一眼レフを投入、一挙に市場は拡大した。


オリンパス OM−1(1972年)
Olympus OM-1+F.Zuiko 50mm F1.8
サイズ:136×83×50mm 重さ:490g  

オリンパスOM−1はオリンパス・ペンの設計者米谷美久の設計である。TTL露出計を内蔵し、ファインダースクリーンを交換できるなど充実した機能を持ちながら、大幅にコンパクトになったこのカメラは、機能美に溢れた一眼レフだあった。

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寒桜(2013.03.06) 新宿御苑

ファインダー内の露出計の針を中央に合わせることで、適正露出を得る。シャッターか絞りか、どちらかを固定して露出計を合わせれば良い。

 
   
 日だまり  野良猫

このカメラのシャッターダイヤルはレンズマウント部についている。フォーカルプレーンシャッターなのにレンズシャッターのようで不思議な感じがする。軍艦上にはシャッターダイヤルのようなフィルム感度設定ダイヤルがある。


 
 フジカ ST605(1976年)
 
 Fujica ST605+Fujinon 55mm F2.2
 サイズ:133×86×48mm 重さ570g

実はコンパクトな一眼レフの萌芽は、オリンパスOM−1より2年早い1970年発売のフジカST701であった。横幅は133mmと非常に小型だ。ただ、高さが91mmもあったので、それほど小さく見えなかった。それで、後発のオリンパスに名をなさしめてしまったのである。

写真のフジカST605は、 STシリーズの廉価版として投入されたが、高さは86mmに抑えコンパクト一眼の一角を占める。フジカはそれまでのCdsに代えて、感度の良いSPDを最初に受光素子に採用したことで知られているが、このST605もSPDによる絞り込み測光だ。

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寒緋桜(2013.3.16) 
前面セルフタイマーの右にあるボタンを押すと、ファインダー内の露出計の針が動く。針を中央に持ってくれば適正というわけだ。 

   
修善寺寒桜(2013.3.16) 
 2013年の冬は寒かった。しかし、3月の中旬になるとさすがに春めいてくる。新宿御苑の桜も早咲きの桜は、もう満開である。

   
枝垂桜(2013.3.16) 
ファインダーは上下像を合致させるスプリットイメージが組み込まれていて、非常に見やすい。 


ペンタックス MV1 (1979年)
Pentax MV1+smc Pentax-M 50mm F1.7
 サイズ:132×84×49.5mm  重さ:595g

銀座レモン社のジャンクコ−ナーで見つけた。シャッターを切ってみたが、どこも悪くなさそうだ。ファインダーもきれいだ。何でジャンクなのかわからないが、可哀想になって救い出してきた。

このカメラはボディー巾が132mmと非常に小型だ。人気のオリンパスOM-1でも、ボディー巾は136mmだから、ペンタックスMV1のコンパクトさは群を抜いている。

1976年に出た絞り優先TTLAE機ペンタックスMEから、シャッター速度表示を簡略化した廉価版だ。ファインダー内に赤、緑、黄の3色の速度表示が出る。赤は露出オーバー、緑は適正、黄は1/60より遅いシャッターになるから手ぶれ注意という表示だ。

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松本楼 水のない噴水。
コンパクトで軽快に写真が撮れる。これは掘り出し物だった。ジャンクあさりもこういうものを探し出すと、病み付きになる。

ノラ 涼しい1等席
ようやく秋が来たようだが、日比谷のノラ達は、未だ日陰が恋しいらしい。
国立博物館 梅花満開
寒かった冬がようやく終わったようだ。2013年の3月7日、史生子と上野の円空展を見に行った。

このカメラは多少露出がオーバー気味になる。フィルム感度を一段高くした方が良いかもしれない。


 キャノンAV−1(1979年)
 
 Canon AV-1+Canon FD 50mm F1.8
 サイズ139×85×47.5 重さ490g

キャノンの一眼レフはシャッター優先AEが不変の路線であった。AE化が始まって以来、頑固なまでにこだわってきた。それがアメリカ市場からの強い要望に根負けして、嫌々作った絞り優先AEカメラがこのAV−1だという。なんだか私生児のようで、その生い立ちには同情を禁じ得ない。

しかし、そこはキャノン。ボディーをコンパクトにして、レンズマウントもそれまでのスピゴットマウントから、普通のバヨネットマウントと操作性が変わらないニューFDマウントを採用し、使いやすさを大幅に向上させた。

電池は6Vの4LR44を1個ボディーの表側から投入する。 

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 桜と銀座交番  不思議な呼び込み
シャッタースピードはオートとB、ストロボ用の1/60のみで、ファインダー内に適正スピードが表示される。

 
   
 新歌舞伎座にて  三越屋上の願掛け地蔵
ファインダーは上下像合致式のスプリットイメージを採用、シャッタースピードのみが表示されるシンプルなファインダーだ。

 
   
ニコンEM (1980年)
Nikon EM+NIKKOR 50mm F1.8
 サイズ134.5×86×54 重さ460g

リトルニコンと愛称された。大きくて重くて高いニコンが、突然市場に投入した小さくて軽くて安いキュートな一眼レフである。アメリカ市場からの強い要望で誕生した。かのジウジアーロのデザインで、プラスチックを多用しているにもかかわらず、高級感を失っていないのはさすがである。

絞り優先AEでシャッターは、B、AUTOに1/90というシンプルな縦走りフォーカルプレーンシャッターだ。

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一面の菜の花
EMとセットで販売されたニッコール50mmF1.8は、アメリカで先行販売されていたニッコールEシリーズの国内版だが、小型のEMによく似合う薄型のレンズで、鏡胴は金属製でプラスチックのアメリカ版より高級感がある。

春のスカイツリー
ニッコールの目印だったカニ爪は、このシリーズには付いていない。例の最小絞りから開放へシャカシャカと回すレンズ交換時のお作法は、このシリーズは必要としない。

浅草 国立博物館

ニコンはニッコールレンズのAi化を進める。カメラにセットするだけで、自動絞りが内蔵露出計に連動するようになる。ニッコール独特のシャカシャカが必要なくなったのだ。

このEMや次のFGシリーズには、爪の無いEシリーズのレンズが用意されたが、Aiシリーズのレンズも使用できた。Aiシリーズと旧シリーズとの違いは、カニ爪に穴が有るか無いかで見分ける。Aiレンズには明かり取り用に穴が開いているのだ。

 三代のニッコール50mm
 
 左からNikkor-S auto F1.4、 Ai Nikkor F1.4、 Nikkor F1.8
 
爪に穴の無い旧型のニッコールは、EMの露出計に連動しないので要注意である。

名玉と言われたAiニッコール50mmF1.4を付けて、試写に出かけた。小岩菖蒲園で春を撮った。
 
 Nikon EM+Ai Nikkor50mm F1.4

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 菜の花  鳥と鯉のぼり

EMではフィルムを入れて裏蓋を閉めると、フィルムカウンターがSを指している。カウンターが1になるまで空シャッターを切るわけだが、シャッターをautoにしてあれば、明るさに関係なく1/1500秒でシャッターが固定される。1になって初めて露出計が連動する。

 
   
石灯籠   鴨のカップル
   
   


ニコンFG−20 (1984年)
 
 Nikon FG-20+NIKKOR 50mm F1.8
 サイズ136×88×54mm 重さ440g

アメリカで好評を博したニコンEMだったが、日本では人気が出なかった。保守的なニコン党にとって、オール自動のEMは、とても我慢できなかったのであろう。ニコンが狙った女性層も、未だこの時代には大きな風にはならなかった。

そこでニコンはEMのオール自動化路線を変更して、マニュアルシャッターを追加したFGを投入する。写真のFG-20はFGからプログラムAEを省略した普及型である。マニュアルシャッターはB、1〜1/1000まで。     
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 東京駅  皇居
やはりオール自動よりもマニュアルシャッターがある方が、何となく安心感がある。気分の問題なのかもしれないのだが。

 
   
 ハナモモ  陽光
今年の花は例年より大幅に早い。3月21日の新宿御苑。修善寺寒桜や枝垂れ桜は早くも散ってしまい、源平ハナモモ、陽光が満開であった。

 
コシナ CT1 スーパー (1983年)
COSINA CT1super+smc Pentax-M 50mm F1.7
 サイズ133×85×50 重さ410g

露出計内蔵だがフルマニュアル機である。シャッターは縦走りフォーカルプレーンで、B、1〜1/2000。レンズはペンタックスKマウントを採用している。このカメラは隠れたベストセラーなのである。世界中のカメラメーカーにOEM提供されたベース機で、噂に寄れば2千台まとまれば、OEMを引き受けたという。

海外ブランドはもちろん、日本でもニコンやヤシカなど、コシナからOEM提供を受けていたブランドはかなりの数にのぼる。

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菜の花と桜 春爛漫

内蔵露出計はファインダーの中にLEDで示される。絞り、シャッターを動かしてLEDがグリーンになれば、適正露出が得られる。

浜離宮の桜

フルマニュアル機なので電池が無くても安心だ。F1.7の明るいレンズと1/2000の高速シャッターを採用しているが、今となってはジャンク並の価格で手に入る。1台は手元に置きたいカメラである。

   
 日本大好き  春の小川

2013年は桜の開花が早く慌てさせられたが、3月29日の浜離宮は菜の花、ハナモモにソメイヨシノ、大島桜が一斉に咲き誇って、まさに春爛漫であった。 




クラシックカメラの物語


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