信濃川流域の火焔土器文化
2009.07.28
日本の縄文土器の最も華やかな時代が、縄文中期と呼ばれる今から5千年ほど前の時代だが、その中でもその時代を象徴する代表が、火焔型土器と呼ばれる一群の土器である。

縄文土器と言えば誰もがまず思い浮かべるのが、火焔型土器なのだ。この土器文化は信濃川流域を中心に、北関東、浅間山麓、福島県に広がるが、なんといっても信濃川流域の出土が質、量ともに群を抜いている。

十日町市博物館(笹山遺跡出土品)
十日町市博物館
新潟県十日町市。人口6万人ほどの小さな市だが、ここに新潟県唯一の国宝が所蔵されている。近くの笹山遺跡から出土した縄文土器を中心に、出土品全点が平成11年(1999)一括して国宝に指定された。特に1号火焔と呼ばれる土器は、まとまって出土した火焔型土器の中でも際だって美しく、年間に数ヶ月だけ一般公開される。

笹山遺跡はこの博物館の北東約3km、信濃川右岸の河岸段丘上に位置する。1980年から5年間にわたり発掘調査され、竪穴住居跡112基、埋設土器36基などが馬蹄形に配列されていた。


1号火焔
2009年7月28日、ちょうどこの日から夏の公開が始まった。写真も自由に撮れるし、見学者も多くないので、5千年前の縄文人の美への情熱に、心ゆくまで向かい合うことが出来た。鶏のトサカに見立てた鶏頭冠と呼ばれる4対の装飾が目を引く。燃え上がる炎を思わせる力強い造形だ。パリやワシントンでも公開され好評を博した。高さ46.5cm。


1号火焔
縄文土器の白眉とされる。
器面全体に隙間無く精緻な
文様が施されているが、縄文は
施されていない。
国宝指定書
火焔型土器を含む深鉢型土器57点、
その他土製品、石器など総計928点が
一括して国宝に指定された。
新潟県唯一の国宝である。


火焔型土器 no8
高さ26.4cmと1号火焔に比べて、
かなり小型だが、
口縁部の鋸歯状突起、
4個の鶏頭冠突起などは、
1号火焔と同様のモチーフだ。
王冠型土器 no16
4個の短冊形突起を持つものを
王冠型土器と呼ぶ。
器面の文様は火焔型と似るが、
口縁部から4個の突起が
スムースに立ち上がる。高さ26.2cm。

新潟県立博物館(馬高遺跡出土品他)

長岡市の馬高・三十稲場遺跡は、最初に火焔土器が出土した遺跡として有名で、昭和54年に国史跡に指定された。

新潟県立歴史博物館
長岡市にある県立博物館。田中角栄氏の地元だけあって立派な建物だ。
ただ、展示は一般の歴史展示で、縄文土器の展示はあっさりしている。
馬高遺跡の出土品は長岡市立科学博物館の方が、詳しいらしい。
さらに、今年(2009)9月末には、馬高・三十稲場遺跡が整備され、
馬高縄文館がオープンするという。もう一度、長岡に来なければと思っている。


火焔型・王冠型土器群


火焔型土器 火焔型土器

縄文紀行


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