クラシックカメラの話題集

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派手派手カメラの大冒険
戦艦大和  極彩色のライカ  ケバケバしいゾルキー  白磁を思わせるゾルキー グジェリ焼のFED

全日本クラシックカメラクラブ(AJCC)は北は小樽から南は台湾まで、会員数200名を擁するクラシックカメラ愛好家の集団である。一口にクラシックカメラの愛好家と言っても、個性は十人十色、実に様々な愉しみ方を展開している。

カメラを集めるのが好きな人はとにかく集める。十九世紀に作られたカメラに集中したり、二眼レフをとことん集めてみたり、フランスのカメラばかりを集めたりと様々に楽しんでいる。「写ルンです」「撮りっきりコニカ」などの使い捨てカメラを6千台も収集した猛者もいる。

古いカメラでの撮影に情熱を燃やす人も多い。便利なデジタル時代に反抗して、手に入りにくいフィルムで、少なくなったDPショップを探して、高いお金を払って現像してもらうといった涙ぐましい努力を傾けている。そして結果は蛇腹から光線が漏れていたり、距離計が狂っていてピンボケばかりだったりと、苦労の割には報われない。そこにこそ無上の楽しみを感じるといった、いささかマゾ的な趣味人なのだ。

カメラを機械として愛する人もいる。メカニズムの変遷、わずかな仕様の違いを詳細に探求する。はては壊れたカメラを分解して、レンズを磨き、シャッターを洗浄してスプリングを入れ替え、動かなかったカメラを蘇らせることに、生きがいを感じるという怪しい集団も存在する。

怪しげなカメラに身を焦がす連中もいる。ドイツやフランスなどの軍隊が使ったカメラ、共産党50周年記念カメラなどは正当派だが、特別仕様としてきらびやかなお化粧を施したカメラを集める変人(私)も存在する。トロピカル仕様の蛇腹カメラ、エルメスなどのファッションブランドとコラボしたカメラ、金色や赤など美しく装ったカメラなどを集めて、見せびらかして自己満足するいう、どちらかというと悪趣味に限りなく近い。ここではその悪趣味の一端をご紹介する。

戦艦大和仕様のFED-2 
 FED-2+Industar-61 50mm F3.5

私が持っている怪しげなカメラ。モスクワのショップがeBayに出品した。ロシアのFED2に装飾を施したカメラだが、なんと日本の戦艦大和が描かれている。嬉しくなって落札した。このシリーズには、イギリスの戦艦キングジョージ5世や、ドイツの飛行船ヒンデンブルグ号などの記念モデルもあって、コレクターを喜ばせている。

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海ほたる 大山千枚田にて

2016年AJCC春の撮影旅行は、房総半島へのバス旅行であった。このカメラは見かけは立派なのだが、なにせロシアカメラのFED2がベースなので、ゴリゴリとした感触で、撮っていて不安が募ってくる。それで現像して写っていると喜びが倍増するのだ。

銀座にて テレビの取材

2016年6月5日、恒例のAJCC銀座歩行者天国撮影会をBSジャパンが取材。石坂浩二司会の「お宝サロン」に小林まゆみ会員が登場するのに合わせて、撮影会風景をテレビカメラが追った。私とこのカメラもテレビカメラに収められたのだが、7月28日の放映の時には、見事にカットされていた。クシュン。

極彩色のライカ
 
 ZorkiC+Industar-22 50mm F3.5
 
これはまた派手なカメラだ。ライカによく似ているが何となく雰囲気が違う。これは旧ソ連のKMZ(クラスノゴルスク光学機器)で作られたゾルキーCにお化粧している。金色をベースに手書きの彩色を施したなんとも派手なコピーライカだ。沈胴式レンズの鏡胴まで丁寧に彩色してある。ウクライナから送られてきたのだが、博学多識の小滝会員によると、マトリョーシュカの彩色技法を応用したのではと言われる。たしかに高級なマトリョーシュカの彩色は、緻密で美しいのだが、果たしてどうであろうか。

 
 Matroshka (Матрёшка)
 
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 船橋にて
 
写りはご覧の通り。期待以上に良く写っていた。このカメラは宇田川会員に嫁入りしてしまった。少し寂しい。

ケバケバしいゾルキー4
Zorki-4+Industar-50 50mm F3.5

同じような色使いだが、こちらは赤を多用して一層ケバケバしい。ゾルキー4をベースにしている。よく見ると裏面には鳥が2羽描かれていて、一面の模様は鳥の羽であろうか。細かい部分まで精密に描かれている。全身に倶利伽羅紋紋を彫り込んだような妖しい雰囲気だ。



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大学の大先輩 船上の会員

2016年7月31日、鈴木牧子会員の紹介で、小網代湾に浮かぶヨットに乗船させていただく。折からの天候不順で時々豪雨に襲われる悪条件だったが、めげない面々は船上で大宴会。牧子さん手作りの料理に舌鼓を打った。

小網代湾にて

このカメラは巻き戻しがちょっと難しい。最初は壊れたかなと思った。ライカのようにシャッターボタンのリングを右回転して巻き戻すのだが、次に巻き上げる時は、レリーズボタンを引き上げてリングを元に戻す。ライカタイプに慣れていると最初は戸惑う。

ペトリキウカ ( Petrykivsky Painting )
 
このど派手な装飾は、ウクライナに古くから伝わるペトリキウカという民俗装飾だということがわかった。ウィキペディアによると、動植物を精細に描く技法で、 ウクライナのペトリキウカ村に伝わる伝統技法だそうだ。家具調度品、陶磁器、家の装飾などに使われていて、2013年にはユネスコの世界遺産にも登録されている。


白磁を思わせるゾルキー4
Zorki-4+fed inndustar61 52mm F2.5

これは美しい。まるで白磁を思わせる見事な仕上がりである。鳥と馬をモチーフにした手書きの彩色は、たいへん緻密で丁寧な仕上がりである。しかし、残念なことにレンズが曇っていて使い物にならない。レンズを磨こうとしても鏡胴が動かない。

 
Zorki-4+fed inndustar22 50mm F3.5 

やむを得ずライカマウントのインダスター22に交換して撮影した。 格好は最悪だがこれで写真は撮れる。ロシアのレンズは侮れない。市場価格は驚くほど安いが、その写りは驚くほど良く写るのだ。

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三井記念病院 巣鴨にて

左は心臓の検査で通っている三井記念病院。システムが良く出来ていて、検査結果が即日わかるというお気に入りの病院である。右はAJCCの事務所がある小山ビル4階からの風景。ロシアカメラは侮れない。

 レンズ復活大作戦
 
 レンズの中身を入れ替えた!

AJCC修理勉強会で白磁カメラのレンズ復活作戦が始まった。レンズの玉を交換しようというのだ。白磁カメラに付いていたレンズと同型の、インダスター52mmF2.8を手に入れた。そのレンズも鏡胴が固着していて動かない。鍋田リーダーのアドバイスで、アセトンにレンズを丸ごと漬け込んだ。2ヶ月そのままに放りっぱなし。凝り固まった油脂分を溶かしてやろうというわけだ。こういう修理って私の趣味に合っている。実に豪快なのだ。

2016年12月10日、アセトン漬けのインダスターを取り出して分解にかかる。2ヶ月経っても非力な私では手に負えない。隣の高橋強兵会員に助けを求める。さすがだ。アッと言う間に分解してしまった。アセトンに濡れたレンズをよく磨いておく。小滝会員の秘密兵器は使わずにすんだ。白磁のレンズも分解して、中のレンズを入れ替える。デジタルカメラに付けて確認したら、バッチリだ。

翌11日の日曜日、向島百花園は晩秋の雰囲気が濃厚に漂う。そこへド派手なゾルキーを持ち込んで、試し撮り。折から訪れていたカメラマン達は、興味津々。「何ですかそれ?」と声をかけてくる。至福のひとときである。

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孤独の人 晩秋の小道

晩秋の風情を求めて、向島百花園はカメラマンが多い。みんな大きなレンズを持ってデジタルでバチバチ撮す。私はド派手だがゴリゴリのロシアカメラ。フィルムを巻くのに指が痛くなる。おまけにカウンターがいい加減で何枚撮ったかわからない。

赤と白 紅葉とスカイツリー

東京スカイツリーが見える。しかし残念ながら逆光線だ。古いレンズはコーティングが弱いので逆光が苦手だ。しかし、紅葉やススキは逆光の方が美しく写る。さて結果はいかがだろうか。うん、まあまあではないかと独りで自己満足する。

撮り終わって巻き戻そうとしたら、巻き戻せない。家に帰って風呂場を暗室にして、やっとパトローネに巻き込んだ。案の定、光線引き。辛うじて残ったのが上の写真である。このあとのカメラの調整次第で、なんとかまともな写真が撮れそうだ。

Mezen painting
   

この美しい装飾は、ロシア北部を流れるMezen川の流域に伝わる伝統芸術で、14世紀に大いに発展したという。


グジェリ焼仕様のFED−2
 
 FED-2+Induster61 52mm F2.8

これはまた美しい。同じ白磁でもこちらは青の塗色で、一段と高級感が漂う。カメラの説明書きによると、ロシアのモスクワ郊外グジェリ村に伝わる陶器「グジェリ焼」の彩色技法で 装飾されているという。スペインから伝わった技法だそうで、草木や鳥などを極めて精密に丁寧に描いている。

 グジェリ(Gzhel)焼

このカメラ、見た目はきれいなのだが、いざフィルムを入れて撮る段になると、まったく役に立たない。シャッターがかなりいい加減で、1/500は露光しない。1/125以下だと辛うじて写るが 、かなり光線を引くようだ。まともに写るようにするには、かなり時間がかかりそうだ。

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 眠り猫  佃島にて

コマの半分ぐらい光線を引いている。巻き上げ時に問題があるようだ。 レンズの写りはなかなか良いので、撮影時に工夫すればなんとかなりそうだ。

巻き戻しは例によって戸惑う。ライカと同じようにレリーズボタンのリングをC方向に回すと、巻き上げとシャッターがセットされる。問題は巻き戻しだ。リングをB方向に回しただけでは、巻き戻せない。B方向に回して、さらにリングを押し下げる。そうするとストッパーが解除されて、巻き戻しが可能になるのだ。ライカに慣れているとかなりまごつく。

   
 法華経寺妙見堂  荒行堂

AJCC修理勉強会に参加して、シャッターをなおした。といってもシャッターの軸にベンゼンを流し込み、固まった油を洗浄しただけだが、だいぶ良くなった。
 



クラシックカメラの物語


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