クラシックカメラの話題集

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ハンドカメラ事始め

クラシックカメラにハンドカメラと呼ばれるジャンルがある。乾板を使うカメラで、手持ち撮影が可能なカメラのことだ。19世紀の終わりに現れて、ロールフィルムが一般的になる1920年代まで作られた。

現在では乾板が手に入らないので、ロールフィルムを装填できるホルダーをセットして使う。クラシックカメラの泥沼にはまったあげく、最後にたどり着くのがこのジャンルのカメラである。ここまで来ると病も膏肓に入り、治癒するのはかなり困難に相成るのだ。

わたしもこの難病にかからないように、つとめて危険には近寄らなかったのであるが、「カメラをあげるよ」という甘い言葉に、ついふらふらと引き寄せられ、ついに不治の病に感染し、我を忘れることになってしまった。

 クリューゲナー・ミニマムデルタ(1906) 
 
 Krugener Minimum-Delta+Syntor 120mm F.6.8
これは1906年(明治39年)、ドイツのクリューゲナー社の大陸手札判(9×12cm)のハンドカメラである。赤い蛇腹が美しい。木製のボックスにアルミ製のベースボードを組み合わせた格好いいカメラだ。レリーズが標準装備というのも珍しい。

Krugener社は1909年にIcaに合同し、さらに1926年、Zeiss Ikonの大合同に参加する。
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東京駅 
新装なった東京駅を111才になったクリューゲナーで狙ってみた。この時代のファインダーは見にくく、特に水平に撮るのは至難の業だ。東京駅は前庭の工事が終わり、すっきりとした。ただこの駅舎は西に向いて建っているので、常に影になっていて写真に撮るのが難しい。100才を超えた老カメラには大変厳しい被写体である。
 
   
亀戸にて 
どうもピントが甘いので、AJCCの修理会でコリメーター検査。やはり狂っていた。わずかに前に引き出してOK。亀戸からスカイツリーを狙う。ピントはバッチリだが光線引き。未だ道は遠い。 

イカ・クピード75(1914年) 
 
 Ica Cupido 75+Tessar 120mm F4.5
イカはカールツアイスの呼びかけでドイツの主要なメーカーが大同団結して出来たカメラメーカーで、当時,、世界最大のカメラメーカーであった。 International Camera AGの頭文字をとってICA.とした。

セルフエレクティング機構は実に精巧に出来ていて、巧みなメカニズムに惚れ惚れする。

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 新宿御苑の桜  堀切菖蒲園
いずれも2018年。平成最後の年の花である。

 
   
 堀切の七福神  堀切の十二支像
距離を4Mに合わせて撮影。左にわずかに光線引きがあるが、まあなんとかモノになった。 
 
 
 
パテント・エツイ (1921年) 

これは、1921年というから大正10年生まれのパテント・エツイだ。AJCCの先輩H氏愛用のカメラであった。 
 
Patent Etui 6.5×9+Tessar 105mm F4.5 
ドイツの名門、カメラ・ベルクシュテーテン(Kamera-Werkstatten 略してK.W)社製である。K.W社はのちに一眼レフの名機プラクチカを世に送って、一躍トップメーカーの一角を占める。

このカメラの特徴はなんといってもその薄さだ。たたむと実測でわずか37mmしかない。一目見た時から、その格好良さに惚れてしまった。
 
 右は一般的なハンドカメラ、左がパテント・エツイである。超薄型であるのがおわかりいただけるだろうか。本来は大名刺判(6.5×9cm)の乾板を使うカメラだが、ロールホルダーを付ければ120フィルムが使える。

ロールフォルダーに120フィルムを詰めて、秋の浜離宮へ向かった。真っ青な青空がきれいだったが、ほとんどが光線引き。薄さ故にホルダーがボディーにしっかり密着しない。しょうがないから、黒のマスキングテープでぐるぐる巻きにして、リベンジに挑戦だ。
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 キバナコスモス  浜離宮
上は対策前の浜離宮。画面下に光線を引いているが、トリミングで何とか写真になった。手持ちでぶれが心配だったが、テッサーらしい写真が出来た。
   
 秋の新宿御苑  大銀杏
 ロールフィルムホルダーを完全密閉して、秋の新宿御苑の撮影。未だ少し怪しいが、ずいぶんと良くなってきた。もう少し使い込めば、もう少しましな写真が撮れそう。でも、ファインダーが見にくいなあ。
   
 江戸川にて
だいぶ良くなってきた。やはり慣れだろうか。とにかく慣れるまで撮り続けることが、クラシックカメラ上達の秘訣だ。押せば写る最新式のデジタルカメラと違って、奥が深いのである。


 イカ イディアール 111 (1924年)
 
 Ica Ideal 111+Tessar105mm F4.5
前身のヒュティヒ時代の1906年の発売。イカになり、ツアイスイコンになっても作り続けられた。長生きしたカメラである。それだけ初期の設計が優れていたのだろう。 
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 葛西海浜公園  新宿御苑
蛇腹から光線漏れがあったが、修復して無事試写が出来た。 
 
ローデンシュットック ダロV (1931年)
Rodenstock DaroV+Eurynar 135mm F4.5

レンズで有名なローデンシュトック社製のハンドカメラ。大陸手札判(9×12cm)の大型のカメラで、重量は1,200kgもある。これもAJCCの先輩K氏に譲っていただいた。ホルダーにブローニーフィルムを入れて、秋の公園に試写に出かけた。

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 秋の公園 木漏れ日の道 

見かけはくたびれていたけど、良く写るカメラだ。使いこなせば、良い写真が撮れそうだ。

秋の日だまり 時計台

とても良い感じだ。無限遠の位置が未だつかめていないが、馴染むに従って愛着がわいてきそうな感じがする。




クラシックカメラの物語


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