縄文のビーナスに会いに行く 尖石遺跡(長野)
2008.11.05

日本の国宝で縄文時代の文化財は3点しかない。新潟県の1号火炎土器、北海道の著保内野土偶、そして長野県の縄文のビーナスである。そのビーナス像にひと目会おうと、錦秋の信濃路の旅に出た。


尖石遺跡                        Panasonic Lumix G1
八ヶ岳の西山麓の台地上にあり、標高は1070M。縄文時代中期の代表的遺跡である。昭和5年(1930)から発掘が進められ、現在(2008)までに218件の住居跡が確認されている。隣の与助尾根遺跡とともに、国の特別史跡に指定されている。


尖石
遺跡名称の元になった石。昔から信仰の対象になっていたようで、「とがり石」様と崇められていたという。1メートルほどの尖った石である。
尖石縄文考古館
国宝土偶や重文土偶を中心に茅野市内出土の遺物2000点を展示する。国宝、重要文化財を含めて撮影OKという嬉しい博物館だ。


縄文のビーナスと仮面の女神

縄文のビーナス                   国宝   棚畑遺跡出土
昭和61年(1986)茅野市米沢の棚畑遺跡から出土。平成7年(1995)国宝指定。
高さ27センチ、重さ2.14キロ。意外に小さいが、雲母が混入した粘土を使用しているので、肌がキラキラ光って美しい。


後ろ姿
頭の頂部は平らで、渦巻き状の文様が刻まれている。腰回りはどっしりとしていて、妊娠した女性を表しているのだろうか。
発掘状態
環状広場の中央の小さな土坑に、ほぼ完全な形で、横たわるように埋められていた。約5千年前の縄文中期に作られたものである。


仮面の女神                      国宝   中っ原遺跡
茅野市湖東の中っ原遺跡の墓と思われる土坑から出土した。今から4000年前の縄文後期の作品で、ビーナス土偶より1000年若い。高さ34センチ、重さは2.14キロの大型の中空土偶である。全体に黒色がかっており、よく磨かれている。V字形の髏が顔面に貼り付き、仮面をかぶったように見える。臍と生殖器を誇張しており、全身を渦巻き状の文様で飾る。平成18年(2006)重要文化財に指定。平成26年(2014)8月26日国宝に指定された。


正面の像
安定感のあるどっしりとした造形である。安産を祈ったのであろうか。粘土の紐を積み上げて作っているので中空である。
発掘状態
墓と思われる土坑の中に埋められていた。右足が上下逆に置かれているので、埋めた時にすでに右足は壊れていたと思われる。


尖石縄文考古館展示の縄文中期の土器

蛇体把手付き土器  尖石遺跡
昭和8年(1933)に発掘された。
深鉢         尖石遺跡
こちらも蛇体の把手が付いている。


有孔鍔付き土器    長峰遺跡
皮を張って太鼓にしたか、酒の醸造に使ったのだろう。何となくユーモラスな形だ。
深鉢
大きな目玉をあしらい、3段に分けて装飾した深鉢。


深鉢          棚畑遺跡
水煙土器に近い造形。
円をいくつも重ねている。
深鉢         棚畑遺跡
土器表面を細い粘土紐で縦横に飾る。非常に細かく丁寧な作りだ。


深鉢        中っ原遺跡
上部と下部に別れた複雑な造形。
いったい何に使ったのだろう。
双口土器      一ノ瀬遺跡
二つの深鉢をつなげた用途不明の土器。
内部でもつながっていない。

吊手土器      棚畑遺跡 吊手土器       稗田頭遺跡


顔面把手       棚畑遺跡 顔面把手       中っ原遺跡


土器群


尖石遺跡近辺の地図

蓼科山
秋の空がきれいだった。
テラス蓼科
トヨタの保養施設。

縄文紀行


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