クラシックカメラ銘々伝
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T型コンタックス解体新書
 
 Contax T+Tessar 50mm F3.5
小型精密カメラの代表ライカの誕生は、1925年であった。それに遅れること7年、1932年にツァイス・イコンからコンタックスが発売される。ライカ最大のライバルの登場である。

コンタックスの開発に関する情報は、先輩諸公が数多く紹介されているが、実際の使い方を指南した情報は意外に少ない。縁あって私の手元に来た写真のコンタックス、使い方がさっぱりわからない。壊れているのかと思ったくらいだ。

パズルを解くように、手なずけるのにかなりの時間を要した。ここでは、その悪戦苦闘の記録を、お伝えしようと思う。

1.フィルム巻き上げとカウンターセット

フィルムの装填はライカに比べて遙かに容易だ。裏蓋が簡単に脱着できるので、装填はいたって簡単。

しかし、そこからが難問なのだ。まずフィルム巻き上げノブが軍艦上部に見当たらない。ひときわ目に付くボディー前面の大きなノブ、まあ、誰でも見当は付く。このノブを時計方向に巻くと、フィルムが巻き上がり一コマ分進んだところで、シャッターがチャージされストップする。

さて、おもむろにカウンターをセットしようとすると、矢印の方向に回しても動かない。悩むこと半日。背面に目立たないが黒いポッチがある。よーく見るとかすかに下向きの矢印があるではないか。ポッチを下に下げながらカウンターを回すと、動いた。やったー!

 
巻き上げノブ カウンターとストップ解除釦


2.シャッターセット

複雑怪奇なのはシャッターのセットである。いくらカメラを眺めていても見当が付かない。フォーカルプレーンでもレンズシャッターでも、古今東西セットの仕方はだいたい決まっている。どんなカメラでも見当は付くものだが、こいつだけはさっぱりわからない。ネットで調べても訳のわからないことが書いてある。

悩んでいた時、ふとツァイス・イコンの広告が目にとまった。ロンドンの新聞に載った広告だから英語である。ドイツ語はチンプンカンプンだが英語なら、意味はとれそうだ。複雑なシャッターについて、誇らしげに告知しているではないか。

シャッタースピードは4グループに分かれている。

1.TIME GROUP
  Time and 1/2 second.

2.NIGHT PICTURS GROUP
  1/5th and 1/10th second

3.NORMAL GROUP
  1/25th,1/50th,1/100th second

4.SPORTS GROUP
  1/100,1/200,1/500,1/1000 sec.




ようやくわかった。まずグループのセットだ。各グループの指標は赤と白の▽で表示されている。巻き上げノブの下側のリングを半時計方向に回すと、タイムグループのが現れる。さらに回すとナイトグループの、次にノーマルグループの、最後にスポーツグループのが現れる。

現代の高感度フィルムを使う限り、スポーツグループにセットすれば
、ほとんどの場合用が足りるはずだ。

スポーツグループにセット

グループをセットしたら、次は上側のリングを持ち上げて、上下のリングの間にある小さな白いポッチを、シャッタースピードに合わせて落とし込む。の場合は赤いポッチを、同じようにシャッタースピードに合わせて落とし込めばよい。

ところがこのポッチは小さくて、さらにほとんどの場合、赤い色が消えている。グループの時に白いポッチはシャッタースピードに合わせても、落とし込めないから、まあ間違わないだろうが、このカラクリがわかっていないと、大いに戸惑うことになる。

白いポッチを1/200に合わせた。
右端に赤いポッチが見える。赤くないが。

おわかりいただけただろうか。一日いじくり回して、やっとここまでたどり着いた。まるでパズルを解くようで、これはこれで楽しい時間だった。この複雑怪奇なシャッター機構の故に故障も多いらしい。 
 
いよいよ実写だが、ここで注意事項が一つ。必ず巻き上げる前にシャッターをセットすること。巻き上げてからセットすると、故障の原因になるそうだ。なかなか気難しいのである。

☆ テッサー50mmF3.5
Contax T+Tessar 50mm F3.5
沈胴式のテッサーである。このカメラに着いていたレンズだが、残念ながら、かなりクモリがあって、テッサーらしいシャープな写りは期待できない。
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 ノカンゾー
テッサーのレンズを鏡胴からはずして、クリーナーで汚れを落とした。細かなキズは直らないが、かなり良くなったと思う。試写に出かけた。
 
   
 江戸川にて 温室 
 
3.レンズ交換1 内爪

レンズ交換時にまた注意点がある。必ずボディー側のヘリコイドを無限遠にしてから、レンズをはめること。ライカのようにどこからでも良いというわけにはいかない。コンタックスは気難しいのだ。

コンタックスのレンズには標準レンズは内爪式、広角や望遠レンズは外爪式のレンズが用意されている。内爪式の場合は、ボディー側のマウントを無限遠でクリックして、レンズ下部の赤い突起をマウントの赤点に合わせて、反時計回りに回せばロックされる。これは比較的簡単である。

ボディー側でマウントを回転させ、距離を調節する。この場合、右手の指で距離計の窓をふさいでしまわないように注意する。ついうっかり塞いでしまって慌てることが多いのだ。

☆ ジュピター8M 50mm F2
 Contax T+Jupiter 8M 50mm F2

安いロシアレンズ ジュピター8M F2に交換してみた。このレンズは、ツァイス製ゾナーのデッドコピーで、安いからといって馬鹿に出来ない。非常に良く写る。
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中山の赤門  睡蓮


蓮の花 ルドベッキア
 
☆ ゾナー 50mm F1.5 
 
 Contax T+Sonnar 50mm F1.5
本物のカール・ツァイス製ゾナー50mmF1.5が手に入った。戦後に西ドイツのツァイスで製造されたオプトン・ゾナーだ。薄紫のコーティング美しい。

2013年11月30日、トヨタ博物館主催のクラシックカーフェスタへ出かけた。鮮やかに黄葉した銀杏並木を走るクラシックカー。古き良き日の思い出が蘇った。ゾナーはさすがの写りだ。シャープで鮮やかな色彩表現。コンタックスの面目躍如である。 
 
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MG 黄色と遊ぼう
毎年この時期にトヨタ博物館がクラシックカーフェスタを、神宮外苑で行う。クラシックカーはクラシックカメラを集めるのと、どこか似ている。不便で不経済だけれど、なぜか魅力的な機械。そんな彼らを写すには、コンタックスT型が一番お似合いだ。

神宮外苑は銀杏の黄葉が真っ盛り。真っ青の空に映えて息を飲むように美しい。子供達も落ち葉と遊んで、平和な時が流れる。

菜の花電車
2014年の3月31日、房総半島の春を訪ねて、小湊鉄道の旅をした。一面の菜の花と、ほころびかけた桜、それにレトロな気動車。重厚なコンタックスの格好な被写体であった。

4.レンズ交換2 外爪

広角レンズや望遠レンズは外爪式である。マウントの外周のガイドを、レンズの外爪で挟んで固定し、レンズのヘリコイドで距離計と連動する仕組みだ。

ボディー側のマウントを無限遠でロックする。次にレンズのヘリコイドを無限遠にして、レンズ下部の赤点をマウントの赤点に合わせ、きちんと平行にして押し込む。ボディー側の小さなピンが外側に移動し、無限ロックが外れる。そのまま半時計方向に回転し、レンズの赤点が正面真上にくればロックされる。回転には少し力が入る。
 
外爪式のゾナー135 押し込むとロックピンが外れる

 赤点を真上に  完了
 
 
☆ ゾナー135mm F4 

ゾナー135mmF4である。3群4枚構成で解放から高いコントラストが得られ、プロの間で評判を呼んだ。戦前からツァイスを代表する名玉である。

後期のコンタックスT型には望遠用のアタッチメントが付いているが、85mm用と135mm用とがあったらしい。私のカメラは85mm用が付いているので、135mm用のファインダーを用意しなければならないが、ライカ用のファインダーは、このカメラのアクセリーシューには入らない。しょうがないから、ロシア製のターレットファインダーを付けて、真夏の花を狙ってみた。
 
 
Contax T+Sonnar 135mm F4 
 
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大賀蓮 コスモス
   
   
雨の蓮池 

2013年7月20日、参議院選挙を明日に控えた銀座。歩行者天国は候補者の演説で賑やかだった。

 参議院選挙の一齣  銀座のネコ
 
☆ ジュピター−12 35mm F2.8 
   
 Jupiter-12 35mm F2.8  Contax T+Jupiter-12

ツアイスのビオゴンのコピーだと言われるジュピター12を付けてみた。後ろ玉が飛び出していて、初めはかなりギョッとするレンズだ。おっかなびっくり付けてみたが、ぴったりと収まった。戦後のコンタックスUaなどには付かないというから要注意である。

 
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東京駅
佐原アヤメ園

2014年6月16日、AJCCの仲間と佐原の水郷水生植物園に。花菖蒲が満開であった。

アヤメ園にて
   


クラシックカメラの物語


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