クラシックカメラ銘々伝
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金色のパックスと仲間達   金色のパックス    パックスM4

2016年、今年76才になる私は、年甲斐も無く金色のパックスに夢中になっている。昔から惚れっぽい性格だったが、こいつには参った。小さくて質感があって、それでなんとピッカピカの金色なのだ。

PAX-golden view (1952年)
 
 Pax golden view+Luminor 45mm F3.5

フードやキャップまで金色。ボディーには濃いグリーンの張り革。実に素晴らしい色使い。終戦間もない頃の製品だが、後のメイドインジャパンの名声の片鱗が見える。これが焼け跡の小さな町工場の製品なのだ。

そう、かの欽チャンこと萩本欽一氏の父萩本団治氏が起こした萩本商店の企画で、大和光機が製作したスーパーダン35がこのカメラの原型なのだ。

 Super Dan 35

萩本商店が資金繰りが付かず倒産のあと、大和光機が引き継いでPAXという名で売り出した。ライカそっくりだが非常に小さく、それがアメリカで大人気となった。PAXという本来の名前のほか、”Alpina”、”Lycon”、”Magnon”、”Ruby”、”Rippa”、”Tac”などというブランドを付けられて、アメリカ各地で販売された。

手のひらに乗るPAX

バルナック・ライカそっくりな外観だが、その大きさはご覧の通り。手のひらにすっぽり収まってしまう。こんなところが何とも日本的なのだ。

Pax golden view
 
シャッターはYKK、B、10、25、50、100、300のシンプルなレンズシャッターだ。セルフコッキングではない。フィルムを詰めて街へ出た。結果はご覧の通り。玩具のようなカメラからは想像も出来ない写りである。

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豊川稲荷 中山法華経寺
2016年(平成28年)の正月の風景。この解像感は只者では無い。

 
踊り子  ドクターイエロー
シャッターが1/300しか無いのが残念だが、田町駅のホームから狙う新幹線もバッチリだ。

   
 巣鴨のこけし  バルタン星人が!!
雨上がりの巣鴨の街を撮った。なぜかバルタン星人が居る。不思議な光景だ。

 
 パックス愛好の仲間と新宿御苑で
 
 左から小山、浅沼、宇田川、神藤、高橋、稲田、岩崎、鍋田の各氏 手前が筆者。

2016年4月5日(火)、新宿御苑に集まったAJCCパックス愛好家達。持ち寄ったパックスは20台。ひとりで10台も持参した猛者もいた。パックスの先祖に当たるスーパー・ダン35や、ゴールデンパックス1型からM2M3M4と揃った上に、RIPPARUBYTACなどバイヤースブランドも多数参加。大いに盛り上がった。

当日、新しい発見があった。M3、M4のために用意されたと思っていたワイドとテレのコンバージョンレンズが、M2にも付くということがわかったのだ。さらにもう一つの発見は、スーパー・ダン35が、1型とまったく同じではなく、わずかに小さいことだった。

  
 勢揃いしたパックス一族

Pax M4 (1958年)

ズームレンズが無かった時代、交換レンズはカメラマニアの垂涎のアイテムであった。パックスはレンズ交換が出来ない。それでレンズの前に取り付けるコンバージョンレンズを用意した。テレとワイドの2種である。専用のファインダーも用意されて、パックスファンを喜ばせた。

 
 
 Pax M4とコンバージョンレンズ
左:望遠   右:広角


パックスM4にテレコンを付けて撮影。焦点距離は80mmぐらいかなあ。コンバージョンレンズだから、シャープさには限界はあるが、やはり画角を変えられるのは楽しい。
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新宿御苑にて(望遠)   F8  1/300


 今度はワイドコンバーターを付けて撮影。画角は35mmぐらいだろうか。周辺がかなり流れるのが気になる。 
   
新宿御苑にて(広角)  F8 1/300 



2016年4月15日、今年は例年より2週間以上早く咲き始めたネモフィラを撮ろうと、茨城県のひたち海浜公園を訪ねた。バスは満員だったが、公園の中はさすがに広いので、ゆったりと写真が撮れた。テレとワイドを付け替えて画角の違いを比べてみた。

 
   
Wide angle Lens 
 Telephoto Lens
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 Wide  Tele
みはらしの丘のネモフィラ   F11 1/300 
少しわかりにくいが右側の丘に注目すると、違いがはっきりする。ワイコンは周辺の像の流れが、テレコンは周辺光量落ちが気になる。共に無限遠だが解像感はイマイチだ。



2016年4月20日、赤坂迎賓館が一般公開されたので、早速、パックスを持って出かけた。手荷物検査で15分ぐらい並んだが、すんなりと前庭に入れてもらえた。これならワイドとテレの違いが大いにわかる。

   
Wide   Tele
赤坂迎賓館  F8 1/300   
赤坂迎賓館は紀州家の屋敷跡に建てられたネオ・バロック様式の建築で、国の重要文化財である。建物が北向きなので写真には撮りにくい。快晴の青空なんだけど、逆光だとこんな感じにしか写らない。これはパックスの責任ではない。

   
 Wide  Tele
 迎賓館正門  F16 1/300
正門は美しく撮れる。テレコンは周辺光量落ちが気になるが、解像感は十分だと思う。 絞りはF16と最大に絞り込んでいる。

 
 Pax M4+Luminor Anastigmat 45mm F2.8
   
45mm標準レンズ 
参考までに標準の45mmレンズの画角は上の通り。レンズ交換が出来ないパックスにとって、この2本のコンバーターレンズは楽しいアイテムである。 


 近距離撮影時の距離補正
 

パックスのコンバージョンレンズには、前後2段の距離補正表が印刷されている。前段がActual Distance、後段がFocus Scale of Cameraだ。 これで近距離撮影時に距離補正をする。まず被写体までの距離を距離計で測る。その数値をActual Distanceとして、表から対応するFocus Scaleの数値を読み、その数値に距離計の数値を合わせる。実際に試してみよう。

実際の被写体までの距離は5feet(約1.5m)。表からActual Distance5に対応するFocus Scaleだから、レンズのヘリコイドを回して8に合わせる。これでOKだ。

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 Wide  Tele
実距離が5feetの場合、Wideはに、Teleはにカメラのメモリを合わせることになる。ピーカンだったので16にまで絞っているため、パンフォーカスになってしまい、あまり良い実験にはならなかった。 今度は絞りを開けて再度実験してみよう。


絞りを開放にするとまったくピントが合わない。F5.6に絞ってやっと使い物になる。下の例はいずれも5feet(1.5m)の近距離撮影。F5.6に絞った時の作例である。

   
 Wide  Tele


開放(f2.8)でも10feet(3m)以上離れると十分実用になる。下左の写真はテレコンを付けて撮影した。実距離は10feet、修正値は6、絞りは開放(f2.8)である。

下右はテレコンを付けて、20feet(6m)離れた被写体を撮った。20feet以上離れれば距離補正の必要は無い。距離計でピントを合わせたままだが、ご覧の通り非常にクリアーに写っている。ピーカンだったので絞りはf16まで絞っている。

   
10feet(3m) f2.8   20feet(6m) f16 
距離補正有り  距離補正無し 


クラシックカメラの物語


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