クラシックカメラ銘々伝
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怪しいハッセルブラッド

ハッセルブラッドはスエーデンが誇る高級カメラブランドである。このカメラの生みの親ビクター・ハッセルブラッド博士は、鳥の写真家として有名であった。第2次世界大戦のさなかにスエーデン空軍からの依頼で、偵察用カメラを設計したのが名機の始まりである。1941年に最初の航空カメラHK7が完成、240台が空軍に納入された。このカメラの特長は、レンズとフィルムマガジンを素早く交換できることで、これはその後もハッセルブラッドの大きな魅力として引き継がれている。


写真のカメラは1970年代の500C/Mである。日本での発売当初の価格は70万円、庶民には手が届かない高嶺の花であった。2016年7月、AJCCの宇田川会員から珍しいカメラが手に入ったというので、呑兵衛仲間が三島まで遠征した。それは確かに珍品であった。それも超がつく珍品である。


Hasselblad 500C/M DEMO

横から見ると

珍品の所以はこうだ。ボディーの側面に何やら怪しい表示がある。近づいてよく見ると、こんな表示があった。「DEMO UNIT NOT FOR SALE」と読める。デモ機につき販売禁止ということだろうか。

ハッセルブラッドにやたら詳しい同行の小山昌男氏によれば、特約店に特別に頒布したデモ機なんだそうだ。頒布価格は3万7千円だったそうで、これをもし販売したら、契約違反で特約店契約を破棄されたというのだ。

   
ボディーとマガジン  レンズにも

ボディーにもマガジンにも、レンズにも DEMO UNIT NOT FOR SALEの表示がある。

さて、オーナーの宇田川氏曰く、巻き上げが出来ないし、レンズを外したら取り付けられなくなってしまったという。東京の有名な某修理店に持ち込んだら、「これはデモ機だから、修理は出来ない。」と断られたという。これを聞いてハッセル使いの小山氏が俄然ハッスル、あっちをいじり、こっちを叩きしていると、
「あ!入った。」
レンズがボディーにカシャッとはまったのだ。みんな思わず拍手。さらに数十分、巻き上げも出来るようになった。完動品として見事に蘇ったのだ。

これにフィルムを入れて本当に写るかどうか、AJCCの研究熱心な面々は、世界遺産になった伊豆韮山の反射炉に向かった。

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販売禁止のハッセルブラッドのデモ機で撮った写真である。レンズは名玉プラナー80mmF2.8だ。これはどうだ。びっくりするぐらいよく撮れている。このデモ機がどの特約店から流出したかは永遠に不明である。さらには販売されたものではないことも付け加えておきたい。




クラシックカメラの物語



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