クラシックカメラ銘々伝
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 百歳のコダックで撮る

湿板から乾板に進歩した写真用感光材は、1885年ジョージ・イーストマンによるロールフィルムの発明で頂点を迎えた。この時はまだペーパーに感光剤を塗布していたので透明ではなかった。翌1886年、ニトロ・セルロースをベースにした透明のロールフィルムが発売され、それを使ってトーマス・エジソンが初の映画撮影を行った。その頃、日本は明治18年、伊藤博文が初代の内閣総理大臣に就任した時代である。

それから10年経った1895年裏紙付きロールフィルムを使うコダック・カメラが発売される。日中でもカメラに装填でき、ボディー裏に開けられた赤い子窓から裏紙の番号を読み取るというロールフィルムカメラの原型が登場したのだ。

1900年、イーストマンはロールフィルムを入れたボックスカメラを、わずか100ドルで売り出す。「You press the button. We do the Rest.」という有名なキャッチコピーで、カメラとフィルムの普及を促進した。

その2年前の1898年、蛇腹で折りたためて、コートのポケットに入るフォールディングカメラが登場する。No.1 folding pocket Kodakである。誰でもいつでも、気軽に写真が撮れる時代の幕開けであった。日露戦争(1904〜1905)勃発前夜のことであった。

No.1フォールデング・ポケット・コダック E (1909年)
 
No.1 Folding Pocket Kodak model E+Meniscus Achromatic 4in.
これは1909年(明治42年)発売のカメラ。1898年に発売された最初のNo.1フォールディング・ポケット・コダックは、パンタグラフ式でレンズポートも木製だったが、1905年のモデルCからベースボードを開くと蛇腹が飛び出して無限遠にセットされる方式になり、1906年のモデルDからファインダーが縦と横に回転するようになり、このモデルEからはレンズポートが金属製になった。。

 
使用するフィルムは105120と同じ幅だから使いやすいが、120フィルムを使うと、裏の赤窓に出る数字がセミ判用になる。これを知らないとすべてのコマが半分しか送られない。必ず2、4、6、8とふたコマずつ送る必要がある。要注意だ。

 
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 浅草にて
ボディーが木製であるせいだろうか、光線漏れが激しい。マスキングテープをぐるぐる巻きにして、ようやくまともな写真が撮れた。三脚穴が無いので、手持ちで撮らざるをえない。わずかな手ぶれでシャープな写真が撮れない。修行が足りないな。

 
No.1 オートグラフィック コダック スペシャルA(1915年)
コダックは1915年、裏紙の上から鉄筆で日付などを記入できるオートグラフィック・フィルムを発売する。このカメラはそのオートグラフィック・フィルムを使うカメラである。使用フィルム名にA120などのようにが付くのですぐわかる。ただ、今はこのフィルムは販売されていないし、鉄筆で書き入れるための記入口から光線が漏れるので、かえって使いにくい。

 
No.1 Autographic Kodak special modelA+Cooke F6.3 
このカメラは良く写る。AJCCの2017年秋の撮影会に持って行った。裏蓋の開け方が独特で、かなりのベテランでも迷う。それがまた寄せ木細工のようで楽しい。

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佃島にて 秋の富士
これは良く写るカメラだ。光線漏れと手ぶれが大敵だが、慣れてしまえばご覧の通り。とても100年前のカメラとは思えない写りだ。

佃島にて 落羽松
左の佃島は古い漁師町と、近代的なマンションが対照的で、楽しい撮影スポットである。右は新宿御苑の落羽松。ヌマスギとも呼ばれるが、根が地上に頭を出していて、不思議な光景を見せてくれる。 

No.2 フォールディング ポケット ブローニー A (1904年) 
 
Kodak No.2 folding pocket brownie model A+Meniscus achromat
入手順序が前後する。下のモデルBのあとで手に入れたモデルA。モデルBとの違いは、レンズボードが木製であること、裏蓋の開閉がボタンで無くヒンジであることなどだが、フィルム装填軸にテンションがかかりにくく、巻き上げ終了でも巻きが弱く光線漏れを起こしやすい。

コダックのカメラに付いているNO1とかNO2とかいう番号は何を表すのだろう。私にはほとんどむちゃくちゃに見えるのだが。古さの順番でもないし、フィルムの種類とも関係が無い。このカメラはNO2だが、上に紹介した2台のNO1より古い。シャッターとヒンジなどは金属だが、あとはほとんど木で出来ている。使用するフィルムは120である。

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晴海埠頭にて 
若干の調整が必要だったが、期待以上に良く写る。 赤い蛇腹は革製で私のお気に入りだ。

No.2 フォールディング ポケット ブローニー B (1907年)
Kodak No.2 folding pocket brownie model B+Meniscus achromat
このシリーズで最初に手に入れたカメラ。120フィルムが使えるのがミソだ。上のモデルAの3年後に市販された。

 
 左:No.2 右:Kodak No.3-A Folding Brownie Camera
左がNO2、右がNO3。同じ形に見えるが大きさはずいぶん違う。右のカメラ、オークションの写真で見ると、大きさの違いがわからないから、つい落札してしまった。右のカメラは左と同じ1907年製で、使用するフィルムは122。120の倍ぐらいの幅がある。ショック。

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日比谷公園 東京駅 
120フィルムが使えるコダックNo2。四角い木製の箱は風格を感じる。No3はフィルムが無いので手放したが、赤い蛇腹が格好良くて物欲を刺激されている。困ったもんだ。


 
 Kodak No.2 Folging Pocket Brownie model B+Meniscus achromatic
強烈な物欲に負けて、赤い蛇腹のコダックNO2を手に入れた。裏蓋もきちんと閉まるし、上の黒蛇腹よりかなり程度が良い。光線漏れも無さそうなので、珍しい東京の雪景色を撮りに出掛けた。2018年の1月23日、前日の雪が青空に輝いていた。
 
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 東京駅  皇居
革靴で飛び出したので、一面に積もった雪に阻まれて、二重橋までたどり着けなかった。残念、無念。 

   
新宿御苑2018.03.26 
 平成30年は桜の咲くのが異常に早い。3月26日には新宿御苑はソメイヨシノ、陽光、枝垂れ桜が揃って満開。雪から桜へと季節が大急ぎで巡っていく。


 No.2 フォールディング オートグラフィック ブロウニー(1915年)
 
 Kodak No.2 Folding Autographic Blownie+Achromatic
No.2のフォールディング オートグラフィック ブローニーである。最初期型でボディが角形である。カメラの構造からか光線漏れが激しい。最初のフィルムはほとんど使い物にならない。2本目はマスキングテープでかなり補修したのだが、未だ光線が漏れている。トリミングしてやっとまともな写真が出来た。

 
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日比谷公園にて 
トリミングしてようやく見られる写真になった。左側の光線漏れが激しい。近距離撮影は少しピントが甘いが、まあまあだ。

 
   
 二重橋  東京駅
二重橋から東京駅へ回った。良い散歩になった。なんとなくピントが甘いなあ。 手ぶれだろうか。




クラシックカメラの物語


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