16mm映画用Cマウントレンズ

1930年代に入ると、それまでの35mm巾の長尺フィルムに代わって、16mm巾のフィルムを使った映画が作られるようになった。器材も小型化され、ようやく個人にも手が届く器材が出現した。ドイツのアリフレックス、スイスのボレックス、アメリカのベルハウエルなどが代表的なブランドである。

アリフレックス ボレックス ベルハウエル

16mmシネマ用のレンズのマウントはCマウントと呼ばれ、ズームレンズが無かった時代には、上の写真のように焦点距離の違うレンズを、ターレットに付け回転させて撮影した。

その後、映画はフィルムから磁気テープに、レンズはズームレンズに移行し、さらに現代のデジタルビデオへと進化する。Cマウントレンズは古き良き時代の思い出として、器材置き場の片隅にひっそりと眠っていた。ルミックスG1の発表は、このレンズの愛好家達を刺激した。Cマウントはフランジバックが17.5mm。19.3mmのG1とは1.8mmしか違わない。
工夫すればなんとかなる、みんな色めき立ったのである。

ヨーロッパでまず試作されたアダプターは、ボディーマウント部より1.8mmだけ沈み込ませるというアイディアだった。このアイディアは瞬く間に世界に広がり、香港や台湾、日本などからCマウント用アダプターが発売された。このアダプターの出現によって、ほこりをかぶっていたCマウントのレンズ市場は、あっという間に活況を呈し、価格は暴騰して市場から姿を消しつつある。

なお、Cマウントは16mmシネカメラだけではなく、8mmでもフジカZC1000など一部機種はCマウントを採用した。また、フランジバックが5mm短いCSマウントが、監視用カメラの規格として存在する。

ボレックスとスイターレンズ
ボレックス H16
スイスの精密機器メーカーパイヤール社
が製造した16mmシネカメラ。
スイター25mm&16mm
スイスのケルン社が製造したシネ用レンズ。
優れた描写力は定評があった。

ケルン社はスチールカメラ用のレンズはほとんど造っていないが、
スイスのアルパフレックスの標準レンズは、このケルン社の名玉マクロスイターである。
このレンズを使いたくて、アルパフレックスを買ったという人も多かったという。
アルパブックという名著の著者豊田茂雄氏から、Cマウントアダプターと
スイターレンズを譲っていただき、生まれて初めて映画用レンズで写真を撮った。

スイター16mm F1.8
SWITAR16mm F1.8
マウントアダプターは台湾製だが
非常にしっかりした造りで信頼性がある。
レンズはかなり小型だが、高級があり、
金属鏡胴はずっしりと手応えがある。
LUMIX G1
シネ用レンズをつけたG1。
世界中のCマウント愛好家の期待を
一身に集めている。新型では動画も
写るというからなおさらである。
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F5.6 1/1000 iso100 F5.6 1/640 iso1600
イメージサークルが小さいので、4隅にケラレが生ずる。トリミングするよりも、
逆にケラレを生かした作品を狙う方が面白いかもしれない。
F5.6 1/50 iso100 F5.6 1/200 iso100
F5.6 1/320 iso200 F5.6 1/1000 iso200
F5.6 1/2500 iso200 F5.6 1/320 iso400
このレンズは最短1feet(30.5cm)まで寄れるので、広角マクロのような使い方も面白い。

スイター25mm F1.4 RX
SWITAR 25mm F1.4 RX
小さくて高級感のある得難いレンズだ。
LUMIX G1
G1によく似合う。
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F2.0  1/2500 iso100
解放近くだと、周辺のケラレは
あまり多くない。光がきれいだ。
F8.0 1/640 iso800
カエデの落ち葉に夕日が差して
ひっそりとした秋の公園。

このレンズはプリズムを使ったボレックス H16のために、周辺収差の補正をしてある。プリズムを使わないカメラにつけると、周辺部が過剰に補正されて、像が流れるようにぼける。それが中心部を強調するような、独特の雰囲気を出すのだ。被写体を選ぶが、面白い効果が出るレンズだ。

F5.6 1/2000 iso400 F5.6 1/2500 iso400

スイター25mmの変種
さて、人気のスイター25mmには数種類の変種があるようだ。下の写真はRXとARだが、双方ともさらに種類があって、それぞれにF1.4のものとF1.5のものとがあるらしい。

鏡胴にも種類があって、下左の写真のように被写界深度表示が白い山形に変化するものや、オレンジ色の点で表示されるもの、さらにはオレンジの山形になるものなどがある。これは大変楽しいギミックだ。鏡胴の長さも違う。

RXとARは何が違うのだろう。一説によるとRXの方が過剰補正が強く、普通のカメラにつけると周辺の像の流れが大きくなるのだというのだが。

左:RX         右:AR 左:RX         右:AR

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RX AR
F1.4 F1.5
解放で比較してみる。

RX AR
F1.4 F1.5
周辺部の像の流れは、やはりRXの方が大きい。F値で0.1の違いはあるが、RXの方がより強い補正をしてあるとの噂は確かのようだ。

RX AR
F5.6 F5.6
しだれ桜で比べるとその差が明確にわかる。RXの補正はかなり強い。それだけ個性的な写真が撮れるのだが、使いこなしはかなり難しい。


要注意の変種

要注意の変種もある。下の写真左のように、マウント部の形状が後ろに突き出すタイプがある。このタイプはマウントアダプターでマイクロフォーサーズにつけようとしても、突起部が干渉して最後までねじ込めない。マクロはきれいに撮れるが、無限遠は出ない。私はパナソニックのG1でしか試していないのだが、アダプター遊びの時は要注意である。
左は干渉するもの、右は通常のもの
桜の蕾 バラ
左のレンズをねじ込めるところまででマクロ撮影。当然ながら四隅のケラレもなく、なかなか魅力的な写真になるのだが。



Taylor&Hobson 1inch F1.9
テイラー&ホブソン 1インチ F1.9
イギリスの名門テイラー&ホブソンの
シネ用レンズである。
世界ネットのeBayで100ドルで落札。
LUMIX G1
非常に小型で質感の優れたレンズで
G1によく似合う。
レンズの重さは79gしかない。

1インチは25mmだから、例によって周辺はケラれる。この特性が生きる被写体を選ぶことがポイントであろう。
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F5.6 1/3200 iso100 F5.6 1/3200 iso100
F11 1/500 iso100 F11 1/320 iso100

WOLLENSAK-ROSHESTER 4INCH F4.5
WOLLENSAK 4INCH F4.5
アメリカのウォーレンサック社のシネ用レンズ。
4インチ(101mm)の望遠レンズだ。
ルミックス G1
シネ用望遠レンズをつけられて
多少面食らった感じのG1。

四谷のジャンクショップ我楽多屋で2千円。かなりの年代物だ。
曇りはあるし、ヘリコイドは硬いし、あまり期待しない方がよいかもしれない
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F5.6 1/2000 iso400
銀座和光の時計塔。
F5.6 1/2000 iso200
帝国ホテルの本館。
上の2枚は無限遠だ。無限遠もシャープに出る。バカにしたものではない。
F8.0 1/1250 iso200 F8.0 1/200 iso200
上の2枚は4月2日の新宿御苑。右のしだれ桜は満開であった。
ソフトフォーカスのような不思議な写り。なかなかの描写をみせる。面白いレンズだ。
F5.6 1/800 iso200 F5.6 1/800 iso200
上の2枚は4月3日の日比谷公園。最短1mの近接撮影である。

CANON25−100mm F1.8
キャノン25−100mm F1.8
これは珍しい日本製。
キャノンのシネ用ズームレンズだ。
eBayで60ドルで落札した。
巨大さにびっくり。
LUMIX G1
バズーカ砲のようなレンズをつけたG1。
小型でスリムなCマウントレンズを期待
していたが、届けられたレンズに呆然。
重量は1,191g。まいったなあ。
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F11 1/200 iso100 F11 1/200 iso200
重すぎて手持ちではほとんど無理。ピントが合うところまで自分が移動してやっと撮れる。
4月27日の谷津干潟。冬鳥はほとんど帰ってしまって、夏鳥はまだ来ない。さみしい。
4枚の写真はいずれも100mm望遠端で撮った。
F5.6 1/640 iso100 F8.0 1/4000 iso100

SONY TV ZOOM 18−108 F2.5
SONY 18−108 F2.5 LUMIX G1
中野のフジヤカメラのジャンクショップを覗いたら、Cマウントのソニーレンズが
目に飛び込んできた。なんともオシャレなデザインで、思わず手に取っていた。
アルミ鏡胴はスリムでコンパクトでかっこいい。値札を見ると、なんと526円。
これは買うしかない。

G1に付けるとかなり違和感があるなあ。広角側では周辺が多少けられる。
しかし、写りは水準以上だ。とても500円のレンズとは思えない。
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18mm F8.0 1/3200 iso800 108mm F8.0 1/1600 iso800
18mm F5.6 1/1000 iso100 18mm F5.6 1/1250 iso100
108mm F5.6 1/160 iso400 108mm F2.5 1/3200 iso400

監視カメラ用CSマウントレンズ
Cマウントに似ているものに、防犯カメラや監視カメラ用のレンズ規格CSマウントがある。
口径は25.4mmで同じだが、フランジバックが12.5mmと5mmほど短い。従って無限遠は出ないが、近接撮影ならルミックスに付けて楽しむことが出来る。

ペンタックスのコスミカや、フジノン、トキナー、レイマックスなどが供給されている。
監視カメラ
Cosmicar 50mm F1.8
コスミカ50mmF1.8
ペンタックス製の監視カメラ用レンズ。
世界ネットのオークションeBay
4.99ドル(497円)で落札。
円高(99.60)とはいえオモチャ並みだ。
落札してから9日目に届いた。
送料込みで3,245円。
コスミカを付けたLumix G1
あまりの安さに程度が心配だったが、
キズひとつ無い非常に美しいレンズが
届いた。重量はわずか132g。
これでF1.8の100mmの画角が得られる。
軽くてオシャレで俄然お気に入りになった。

このレンズ、監視カメラ用なので、残念ながら5Mぐらいまでしかピントが合わない。
うーん、残念。ちょうど人の半身が写るぐらいのところが、一番良い描写になるようだ。

なんと優しい絵を作るレンズだろう。とても工業用レンズとは思えない。はかなげで、
繊細な描写は驚きであった。
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F1.8 1/4000 iso100 F2.8 1/640 iso100
F2.8 1/800 iso100 F5.6 1/250 iso400



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