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粋なフランスカメラ   SavoyRoyer WeberFex FocaPF2

カメラはフランス人の発明品である。画家のルイ・ジャック・ダゲールによって発明された。1839年のことであった。日本では天保10年、将軍は12代家慶の時代である。フランスは写真文化発祥の国なのである。ダゲールのカメラはダゲレオタイプと呼ばれ、世界に3台現存するという。

ダゲレオタイプのカメラ

カメラ発祥の地でありながら、カメラ生産では隣国ドイツに王座を明け渡し、わずかにカメラのフォカ、レンズのアンジェニューが知られているぐらいで、たいへん淋しい。しかしフランスは芸術の国であり、「決定的瞬間」の写真家アンリ・カルティエ・ブレッソンを生んだ国でもある。

サボア ロワイエ 

SAVOY ROYER Ⅱ+SOM BERTHIOT 50mm F2.8
フランスのSITO(Société Industrier de Technique Optique)製。なんとも不思議な構造のカメラである。レンズ部分がパカッと外れるのだ。最初のモデルは裏蓋が開かなかったらしい。フィルムは前から装填するという珍しいカメラだったのだ。しかし、あまりにもやりにくいので、このⅡ型からは普通の裏蓋開閉式にした。それでもレンズを外すことにこだわったのは何故であろう。交換レンズは発売された形跡はないし、プロジェクターか引き伸ばし用とでも考えたのだろうか。

1957年の発売。レンズはシネ用レンズで有名なサム ベルティオ50mm、シャッターは鏡胴の左側にレリーズがあるロワイエ B、1~300。カメラとしてはいたってシンプルだが、技術者の施した仕掛けに、思わずニヤッとしてしまう楽しいカメラだ。

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根府川のおかめ桜 早春の渓流
距離は目測だし、レンズもさほどシャープではないが、味のある描写をする。早春の根府川はおとめ桜が満開であった。

根津神社にて 乙女稲荷の鳥居
根津神社である。六代将軍家宣ゆかりの神社。素戔嗚尊が主祭神だ。境内にある乙女稲荷は、磐の割れ目を女体に見立てたのが社名の由来だそうだ。朱色は鮮やかに写った。

新幹線 夕焼けだんだん
左:眼下を行く新幹線。1/300では完全には止まらない。逆にスピード感が出た。
右:逆光の夕焼けだんだん。かなりフレアーが厳しいが、懐かしい雰囲気は出る。


ウエーバー フェックス
Weber Fex+Ikar 50mm F2.8
1960年代にフランスのフェックス・アンド(FEX/INDO)社が販売したカメラで、なんとなく上のサボワ・ロワイエに雰囲気が似ている。レンズはF2.8の明るいレンズが付いているが、シャッターはBと25から300までの普及型カメラだ。

巻き上げはシャッターチャージと連動したセルフコッキングだが、巻き戻しは巻き上げノブを上に引いてロックを解除する。距離は前玉回転で、ヘリコイドのように見える黒い突起のあるリングは絞りである。ファインダーは大きいが素通しガラスだ。フィルムを入れないとシャッターがチャージされないので要注意。

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只見川 朝の参道
AJCCの撮影旅行で会津を訪ねた。柳津の旅館の前の只見川と、虚空蔵菩薩の参道である。ファインダーの視野が正確でないので、上下が切れてしまった。カメラのクセをつかむまで、四苦八苦だ。一眼レフとはだいぶ感覚が違う。

道の駅 ロータス
帰り道で寄った道の駅。野口英世の生家の跡が博物館になっている。右は羽生のSAで見たロータス。親子でドライブだって。かっこいいなあ。


フォカ PF2 

FOCA PF2 + OPLAR 50mmF3.5
フォカを作ったのは、OPLという会社である。1919年(大正8年)、グラモン(Gramont)という公爵が創設した。彼の母はロスチャイルド家の縁につながる男爵家の姫君である。華麗な貴族の企業が生み出したカメラは、どことなく気品が漂う。

1940年、第2次世界大戦でフランスはナチスドイツに攻め込まれ、パリを占領された。有力な光学メーカーであったOPL社も、ドイツ軍のための光学兵器を生産させられていた。しかし、OPL社の技術者達はドイツ軍の目を逃れて、密かに精密カメラの設計を進めていた。

1944年、連合軍によってパリが解放されると、OPL社は秘密裏に設計していたカメラの生産に着手した。翌1945年、ベールを脱いで世に出たのが、このFOCA PF2である。通常フォカ2スターと呼ばれるこのカメラは、基本はライカのシムテムを取り入れながら、随所に独自のメカニズムを採用し、敵国ドイツに抵抗している。

レンズ交換は出来るがライカマウントとは互換性がない。シャッター速度ダイヤルを回してフィルムを巻き上げる。ファインダーと距離計を一体化する。等々、ライカタイプでありながら、ライカとはひと味もふた味も違う魅力的なカメラに仕上がっている。フランスのエスプリといわれる由縁である。

このモデルのあと、距離計のない1スター、スローシャッターが付いた3スターが発売され、さらにレンズマウントをバヨネットにしたユニバーサルに発展する。ユニバーサルまではスクリューマウントで、50mmレンズしか距離計に連動しなかった。

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大手門 白鳥
オプラーという標準レンズは、なんと40gしかない。この非常に軽いレンズが、なかなかの描写をする。少し青みがかった色調も、独特の雰囲気を作り出している。

ママ、あれ何?! ネコに見とれて
街でスナップするのには、この粋なカメラは目立たなくていい。子供の自然な表情が撮れる。シャッターの音はフォカ独特の音で、この音を聞くと、なんともいい気分になる。

銀座のネコ はいポーズ!
なぜか銀座にネコが登場した。まだ小さい子猫だ。おとなしくてあまり動かないから、絶好の被写体になっていた。

あいあい橋 巾着田の曼珠沙華

水車小屋 牧場にて
曼珠沙華が満開になったと聞いて、埼玉高麗の巾着田に向かった。フォカはこの日も快調であった。曇り空が残念だったが、真っ赤な曼珠沙華は美しかった。オプラーという標準レンズは、少し青みがかった描写をする。フランス人好みなのだろうか。


ギリシャから届いたFOCA

私のFOCAは、2010年9月、国際オークションeBayで落札した。わずか109ドルであった。送料を加えても1万円でお釣りが来た。ギリシャからの出品で、折からの円高に加え、ギリシャ経済は厳しい状況だったので、はからずも破格値で手に入った。

ギリシャの小包 アテネからだ ギリシャの切手

ギリシャからの送料は15ドル。アテネを出てからちょうど1週間で、私の手元に届いた。航空便で15ドルは安い。円高に感謝した。

36φのスクリューマウント 軍艦部

フォカの作りは非常に華奢だ。ボディーの金属板はかなり薄いようで、レンズを付けた重量は492gしかない。

レンズのマウントはスクリューマウントだ。しかし、径は36mmでライカとは互換性がない。フォーカスヘリコイドはボディー側に付いていて、50mm以外は距離計に連動しない。マウント右下の半円形のプレートは、被写界深度を表示している。

軍艦の右のダイヤルはフィルムカウンター、中央がシャッタースピードとフィルム巻き上げ兼用のダイアルだ。このダイアルを持って、ボディーを回して巻き上げる。これがフォカ独特のギミックで、初めて目にするとハッとさせられる。

アクササリーシューの前にMADE IN FRANCEと刻印されている。

フィルムストッパー 2スター

ライカの使いにくいフィルム装填を改善し、裏蓋着脱式にして、さらにフィルムストッパーを付けるという徹底ぶり。事実これは大変便利だ。確実にフィルム装填が出来るという点では、単純だがすぐれた工夫である。

ミシュランの国らしく、カメラも星の数でグレードを表示する。いかにもフランス的だなあ.


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