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| ソ連の記憶 | ドイツの名機 | 粋なフランスカメラ | 米国のカメラ事情 | ||||
| デザインのイタリア | 珍しいチェコのカメラ | 謎の中国製カメラ | 個性の英国カメラ |
| 個性の英国カメラ Periflex Advocate Agimatic |
イギリスは世界最初に産業革命を起こし、世界の海に君臨した工業大国である。ゼラチン写真乾板を発明し、手持ち撮影を可能にしたのは、イギリス人のリチャード・マドックスであった。カメラが爆発的に普及する土台は、イギリス人によって作られたのだ。だから写真工業の初期では、イギリスはカメラ大国でもあった。腕の良い家具職人が、マホガニーやチーク材で丁寧に作った1900年代のイギリス製乾板カメラは、見事な工芸品であり、素晴らしい美術品だとも言える。
カメラの黎明期に世界をリードしていたイギリスのカメラ産業は、1920年代からの小型化の波に乗り遅れ、次第に影が薄くなっていく。しかし第2次大戦後、いくつかの極めて個性的なカメラが作られた。その代表例を紹介してみよう。 |
| アジマティック |
| アジマティックというカメラは、非常に小さい。手のひらにちょこんと乗ってしまうほどの大きさ、これで35mmフルサイズなのだから驚きだ。1956年、AGILUXという軍需企業が作った民生用商品である。ドイツのフォクトレンダー ビトーBによく似ているが、中身はだいぶ違う。 カメラの個性もこのアジマティックになると半端ではない。技術者が遊んでいるとしか思えないほど、意表を突く仕掛けがてんこ盛りなのだ。それが、手のひらサイズの小さなカメラに詰め込まれているのだから、まるで寄せ木細工のカラクリ箱を開くような、面白さがある。 |
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| Agimatic+Agilux 45mm F2.8 |
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| カラクリの謎解き | ||||
フィルム装填 これはそう特別ではない。ライカCLのように裏蓋をボディーから引き抜く方式だ。カメラ裏側の底蓋の開閉スライドを左に寄せて、力まかせに引っ張ると引き抜ける。開閉スライドにはなんの表示も無いので、最初は戸惑ってしまう。 |
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| 裏蓋着脱式のフィルム装填 | ||||
裏蓋を引き抜き、フィルム押さえを開けると、フィルムゲートの中央にスプロケットギアがある。こんな所にギアがあるのは珍しい。フィルムを入れたらスプロケットの孔をギヤに噛ませ、フィルム押さえを閉める。これは確実な方法で作業もしやすく安心だ。 裏蓋を嵌める前にボディー前面下のギヤで、フィルムカウンターをスタートマーク◆にしておく。カウンターは前面中央の露出計窓の下に、逆さまに表示される。上から見やすいようにとの配慮なのだそうだ。このあたりはドイツのビトーBの仕組みとよく似ている。ただ、裏蓋を嵌めてしまうとギヤが中に入ってしまうので、必ず嵌める前にカウンターを合わせておく。ギヤが外側に出て、あとからでもカウンターを操作出来るビトーBとは、少し違うので要注意だ。 |
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| スプロケットギア | フィルム装填 | カウンター19 |
カウンターギヤ | |
| 距離計と露出計 | ||||
| 距離計は普通の2重像合致式だ。ただし、レンズとは連動していない。アクセサリーシューの右にある小さなギヤで2重像を合わせたら数値を読み取り、レンズの前玉を回してその数値をセットするのだ。 露出計は電気式ではない。光学式だ。露出計用の黒枠の窓を覗いて、一番暗く見える数字を軍艦右の露出ギヤを回し換算表に入れて、シャッターと絞りの値を読むのだ。これも私にとって初体験だ。感度表示がARITHとLOGとあるが、何を表しているのだろうか。私は勝手にISOとDINに読み替えて使っているが、露出数値はそれで正しいのだろうか。 |
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| 軍艦上部 | 距離計と露出計 | 距離と露出ギヤ | 露出換算表 | |
| 巻き上げ、巻き戻しの仕掛け | ||||
| 巻き上げはボディー前面のレバーで行う。一度押し下げるとフィルムが巻かれ、シャッターがチャージされる。もう一度押すとシャッターが切れる。レンズ鏡胴についたレバーでフィルムを巻き上げる方式は、日本のコニカⅢやドイツのテナックス、タクソナなどにも見られ、それほど珍しい機構ではない。しかし、同じレバーでシャッターも切るというのは、ツアイスイコンのイコネッテとこのアジマチックだけで、たいへん珍しい。 フィルムを巻き上げて、シャッターがチャージされると、鏡胴上部に赤い丸印が現れる。物忘れが激しい老人には、これが意外に役に立つのだ。 変わっているのは巻き戻しだ。巻き戻しボタンがないのだ。いつでも巻き戻せる。ただ、巻き戻しレバーがファインダーの接眼部に重なっているので、うっかりして巻き戻すということは無いのだろう。人の心理を読んで巻き戻しロックを省略した頭脳的なメカである。 |
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| 巻き上げとシャッター | チャージ赤印 | ファインダー接眼部 | 巻き戻しレバー | |
| レンズ交換 | |||
| レンズの右下に小さなレバーがある。何だろうといじっていたら、レンズがパカッと外れた。びっくりした。こんな小さなカメラでレンズ交換が出来るらしい。調べたら標準の45mmのほかに、85mmレンズが用意されているらしい。これには驚いた。 ファインダー横のレバーで視野を切り替える。誰でも気がつく単純なメカだが、大真面目で商品に採用したのは、このカメラの他には無いのではないだろうか。 |
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| レンズ交換用レバー | レンズを外したマウント | レンズセットのピン | 85mm用ファインダー |
レンズは右下の小さなレバーを上に引くと、簡単にはずれる。はめる時はボディー側の小さなピンに、レンズ側の孔を合わせて、先ほどのレバーを上に引くと、カチッとはまる。この仕組みも独創的である。 |
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| (クリックすると大きくなります。) | |
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| 若い時 スカイツリー529M | 亀戸天神にて |
さて実際に写してみよう。巻き上げとシャッターは快調だ。巻き上げるとチャージ完了の赤い印が出るのは、意外に助かる。これが出ないとチャージしたかどうか、忘れてしまうのだ。 逆に光学式露出計は私には使えなかった。明るいところだと瞳孔が閉じているから、露出計を覗いても何も見えない。少し慣れてくると数字が浮かび上がってくるが、まだろっこしくて勘で決めた方がストレスが無い。 |
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| 児童公園で | 雷門 |
スナップには最適なカメラだ。レバー巻き上げとシャッターレリーズが同じレバーというのは、非常に撮りやすい。リズムが良いのだ。 |
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| 師走のアメ横にて1 | 師走のアメ横にて2 |
距離計も慣れれば使える。2重像がクリアーで合わせやすい。いちいちレンズに数値を移すのはめんどうだが、慣れればうまくいくはずだ。 |
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| クラシックカメラの物語 |