ソ連の記憶 ドイツの名機 粋なフランスカメラ 米国のカメラ事情
デザインのイタリア 珍しいチェコのカメラ 謎の中国製カメラ 個性の英国カメラ

ドイツの名機   LeicaVb   ContaxUa  ExaktaVX  Retinareflex  VitoB  Vitomatic Contessa

ドイツ民族は創造性豊かな民族である。哲学のカント、ニーチェ、マルクス、音楽のバッハ、ベートーベン、ブラームス、医学のコッホなど幾多の天才を輩出した。明治維新以来、日本のお手本になった国である。


カメラの分野でも、オスカー・バルナック、カール・ツァイスなど、その後の写真史を塗り替える偉大な天才が、世界をリードした。マイスターと呼ばれる技能集団が、高品質な工業製品を支え、精密で美しいカメラが生み出された。アジアの新興国日本が必死になって追いつこうとした、憧れの国であった。

戦前、戦後を通じてドイツのカメラは、日本のカメラ好きにとって垂涎の的であった。今日では、世界のライカの50%は日本にあると言われるほど、ドイツカメラは日本に定着した。それでも高価なことは、昔も今も変わりはない。50年以上前の中古カメラが10万円、20万円でショーウインドウに並んでいる。

ここでは、私が手に入れたドイツカメラ、それもコンパクトデジカメ並みの超安値で手に入れたドイツカメラに、実際にフィルムを入れて撮ってみようと思う。いくら安くても、そこは名機とうたわれたカメラ、さすがに撮っていて楽しい。手に馴染むフォルム、手触り、シャッターの感触とその音、クラシックカメラの神髄を感じる。

ライカ Vb (エルンスト・ライツ)

Leica Vb + Summar5cm F2.0
ライカは、V型でほぼ完成したと言って良い。距離計と連動しスローシャッターが付き、このVb型からは軍艦上部がダイキャストになり、距離計とファインダーの接眼部が接近して使いやすくなった。

そのライカVbが、銀座のレモン社で27,000円で並んでいた。しかも、1940年製である。そう、私の生まれた年の生産なのだ。思わず衝動買いしてしまった。古希のカメラだから、グッタベルカが一部剥がれているが、距離計もシャッターも問題は無さそうだ。

レンズはライツ社初の大口径F2.0のズマールだ。これも中古カメラ市で8千円で手に入れた。ストッパーが欠落していて破格の価格だった。合計3万5千円で私と同い年のライカが、私のもとにやってきたのだ。この店ではボディーだけなら5万円以上、レンズが付けば10万円は超えるライカがほとんどなのに。これも奇縁であろうか。

(クリックすると大きくなります。)
浜離宮のキバナコスモス
これがズマールの味なのだろうか。まるで印象派の絵を見るような、煙るような、ねむいような、それでいてピントはきちんと来ている。

芝浦沖から見た東京スカイツリー
こんなところからでも建設中の空樹が
見える。意外にシャープだ。
築地市場
海から見た築地市場。
少しアンダーにした方が色がきれいだ。


うーん、こうなるとやはりエルマーを付けてみたくなる。これも中古カメラ市で格安で手に入れたエルマー50mmF3.5をライカに付けて、同じ風景を撮影した。
エルマーを付けたライカVb

(クリックすると大きくなります。)
浜離宮のコスモス
同じ時代の、同じライツのレンズとは思えない。ズマールとエルマーの個性の違いに、今更ながらびっくりだ。

海上から望むスカイツリー 竹芝埠頭
遠景描写になると、あまり個性の違いは出てこない。現代のレンズのようなシャープさはないが、雰囲気のあるしっかりした描写だと思う。

コンタックスUa (西独 ツァイス・イコン)

Contax Ua + Sonnar 50mm F1.5
ContaxUaは、第2次世界大戦の敗戦で、ドレスデンのコンタックス製造ラインをソ連軍に接収されたツアイス・イコン社が、西側のシュツットガルト市で生産を始めた復興モデルである。戦前、ライカと双璧とうたわれた名機を、さらにブラッシュアップして小型化し、一段と使いやすくしている。

写真のコンタックスは、銀座のレモン社でレンズ付きで4万円だった。ボディーだけで4万円はするライカに比べれば、名玉ゾナーがついてだからだいぶ安い。しかし、クロームメッキの美しさは素晴らしい。高級感は群を抜いている。


(クリックすると大きくなります。)
荒川線三ノ輪駅 荒川線飛鳥山

ひだまり1 ひだまり2

江戸川 木の橋


エクサクタ VXU (東独 イハゲー)
Exakta VX 2 + Westrocolor50mmF1.9 
イハゲーという会社は東ドイツにあるが、オランダ資本だったので人民公社化をまぬがれた。独特のボディーデザインと特異な機構は、ひときわ異彩を放っている。

35ミリ一眼レフを世界最初に送り出した会社でもあり、このモデルでも左手によるフィルム巻き上げ、レンズ側の大きなボタンによるオート絞りとシャッターレリーズなど、独創的な機構は、異端児イハゲー社の面目躍如たるものがある。

銀座のレモン社で、ファインダーがかなりくたびれているというので1万8千円で並んでいた。

(クリックすると大きくなります。)
旧近衛師団 旧軍人会館

江戸城大番屋 皇居に咲くアヤメ



コダック レチナレフレックスV (西独 ドイツ・コダック) 
Retina Reflex + Xenar 45mmF2.8

レチナはアメリカのイーストマン・コダック社が、ドイツの名門ナーゲル社を買収して世に送り出したカメラである。フォールディングカメラが人気だが、それは別項のレチナ賛歌にまとめているので、ここでは珍しいレンズシャッター式の一眼レフレチナレフレックスを紹介する。

レンズシャッターだがデッケルマウントでレンズ交換が出来る。ファインダー内の露出計の指針を合わせることによって、適正な露出が得られるので、使いやすい。新宿の中古カメラ市場でボディーを3千円で手に入れた。シュナイダー・クロイツナッハ社製のクセナーも格安だし、写りは期待以上に楽しめる。

(クリックすると大きくなります。)
西新井大師 六角堂
新宿御苑 遠足


フォクトレンダー ビトーB (東独 フォクトレンダー)

フォクトレンダーの歴史は古い。1756年というから今から250年前、神聖ローマ帝国の首都ウイーンに創業。後にドイツに移って、幾多の名機を世に送ってきた。フォールディングカメラのベッサやビトー、35mmレンジファインダーのプロミネントやビテッサなどがよく知られている。

私はフォクレンダーのファンで、カラースコパーやヘリアーなど、フォクトレンダーブランドのレンズを愛用してきた。カメラも個性的で面白いカメラばかりなのだが、特に私が気に入っているのが、小型のビトーBである。距離計も付いていないシンプルなカメラなのだが、小型化への工夫が随所に見られて、撮っていて楽しいカメラなのだ。

VITO B+COLOR-SKOPAR 50mm

裏蓋の開け方が特殊なので、写真で説明しておこう。小さなレバーを時計方向に回すところがわかりにくい。これに気がつかないと裏蓋が開けられない。
1.レバーを立てる 2.レバーを回す 3.底蓋を開く 4.裏蓋を開く

巻き戻しは、ボディー横の小さなレバーを右に引くと、巻き戻しノブがポップアップする。同時にロックが解除されるので、ノブを回せば巻き戻せる。

また、このカメラはフィルムを装填して巻き上げないとシャッターがチャージされないから、要注意だ。フィルムを入れないで巻き上げても、シャッターが切れない。故障だと思ってあわてないこと。

(クリックすると大きくなります。)
雷門にて 浅草仲見世
羽子板市1 羽子板市2
浅草にて 東京スカイツリー 514M

ビトマチック T (東独 フォクトレンダー) 

VitomaticT+Color-Skopar 50mm F2.8
上のビトーBの発展したのが、このビトマテチックだ。ファインダーが大窓になって、ブライトフレームが入り、非常に見やすくなった。露出計内蔵で、シャッターをセットして、絞りリングを回し、露出計の針を合わせれば適正絞りになる。自動ではないが使いやすい。

1958年にフォクレンダーが発売した。フィルム装填、巻き上げ、巻き戻しなど操作性は、ビトーBを受け継いでいる。ビトーBより背が高くなったが、格段に使いやすくなった。

(クリックすると大きくなります。)
室内で解放撮影 大わらじ
カラースコパーは発色が華やかで、美しい写真が撮れる。距離計はないので目測だが、解放でも十分にシャープだ。

浅草寺本堂 浅草からスカイツリーを望む
ヒカリカメラのジャンクコーナーに、投げてあったのを救い出した。アクセサリーシューの片側が欠品しているが、撮影には支障がない。これは掘り出し物であった。これだからジャンクコーナー巡りはやめられない。


コンテッサ35 (西独 ツァイス・イコン)
Contessa35+Tessar45mm F2.8
西ドイツの ツアイス・イコン社が1950年に世に送ったフォールディングカメラで、戦前の名機スーパーネッテルの流れをくむカメラだ。ドレーカイル式距離計のプリズムを、中央に配置してシンメトリーにこだわっている。蛇腹式だが蛇腹が見えないように設計してあり、精密感が強く印象に残る。コンテッサ(伯爵夫人)の名にふさわしい美しいカメラである。

レンズはツアイス・オプトンのテッサー45mmで、シャッターはシンクロコンパー。1/500の高速シャッターを搭載している。

(クリックすると大きくなります。)
モッコウバラ ハンカチノキ
伯爵夫人の名にふさわしく、恐ろしく扱いにくいカメラだ。普通のカメラとは逆で、ボディーの左下に巻き上げノブ、右下に巻き戻しノブがある。慣れるまでは非常にやりにくい。おまけにスプロケットがスリップしているような頼りない感触で、巻き上げに不安が残る。

谷津バラ園 ハートのオブジェ
オプトンテッサーは評判どうりで、極めてシャープだ。ツアイスイコン自慢のドレーカイル式距離計も、2重像の分離が良く、さすが信頼出来るという感じだ。しかし、シャッターはいちいちチャージしなければならないし、しかもチャージレバーを上に引き上げるタイプで、一般的なレンズシャッターとは逆の運動になる。なんとも扱いにくい。

亀戸天神の藤 黄砂に霞むスカイツリー
藤祭で賑わう亀戸天神から、東京スカイツリーを狙った。晴れてはいるのだが、今日は黄砂が飛んでいて、霞んで見える。



クラシックカメラの物語