世界の妖しいカメラと マイクロフォーサーズの物語

2.本物より高価なコピーライカの巻       2009.12.09

ライカのデザインを盗用したコピーライカは、日本、ロシア、アメリカ、イギリスなどに広く見られるが、いずれも本物より格安なところに存在価値があるのは云うをまたない。しかし、世の中にはその価値観が逆転することがあるので面白い。ここでは、本物より高価なコピーライカの話題である。

紅旗(中国)
ライカM型を模倣した中国製紅旗である。1960年代に、かの江青女史が作らせたと云われているが、市場にはほとんど出回らない。それを国際オークションeBayで見つけた。
なんと22,705ドルで出品されていた。円高の当今でも200万円を超える値付けは破格であろう。赤い紅旗の文字は毛沢東の筆跡だという。

KARDON(USA)
アメリカが第2次大戦中に軍用に作ったコピーライカである。3,000台使ったと云われている。一部は民生用にも回され、シビリアンカードンと称される。
eBayに時々出品されるが、1,500ドルから2,000ドルの値が付けられる。バルナック型ライカは数万円で手に入ることを考えれば、カードンの価格はかなり高いといえよう。

Reid(UK)
eBayで2,415ドル マップカメラで2台連番で56万8千円
イギリスのコピーライカである。イギリスは第2次大戦中、民間からライカやコンタックスを供出させて軍用をまかなったという。このREIDは、英国政府が戦後のカメラ不足を解消するために、エルンストライツ社から押収したライカVaの設計図をもとに、航空機の計器メーカーリード&ジキリスト社に作らせたもの。いわば政府公認のイミテーションライカなのだ。レンズはテイラー&ホブソン社製である。

Reid U+Taylor 1inch F2
リード U+テイラー1インチF2
リードが手に入った。それもレア物とされているリードUだ。リード生産終了後、補給パーツを集めて作ったとされる。なんだか怪しい。

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アジサイ1 アジサイ2
東一番町 広瀬川
車窓の風景 ネコとレチナと
立ち葵 日比谷のネコ

シャッターストロークがやや深く、慣れるまで少し撮りにくい。何故かテイラーというレンズには、inchF2と表示されているのに、絞り目盛りが3.5しかない。画角からいって2インチ(50mm)だと思われるが、レンズにはinchとしか表示がない。マウントにねじ込むと、ライカの定位置よりだいぶ上方に∞ストッパーがきてしまう。いろいろ謎の多いカメラだ。

AJCCの先輩諸氏に鑑定してもらったところ、ゾルキーをベースにしたリードの贋作だという。ライカのコピーであるリードに、贋作があるなんて信じられない。贋作の贋作だ。ショックだったが、これはこれで「妖しいカメラ」には違いない。それにしてもこのカメラは良くできている。同じロシアのFEDとは大違いだ。大変上質な贋作である。


Wega(イタリア)
WegaUa   eBayで1,500ドル
いわゆるヴェネシァン ライカである。第2次大戦が終わると、イタリア北東部に疎開していた精密機械の企業が、ライカによく似たカメラを数種類世に送り出した。ガンマ、ISO、ゾンネ、ヤヌアなどがその代表格だが、いずれもライカのデザインからかなり離れていて、このWegaが一番ライカに近いデザインになっている。不思議なことに、どのモデルも生産台数が少なく、数千台しか造られていない。

このWegaはミラノのアフィオム(A.F.I.O.M)社が製造した。2,000台ほどが生産されたらしい。ライカに似てはいるけれど、なんとなくひょうきんなデザインで、イタリアンな雰囲気がただようのはお国柄だろうか。

LEOTAXとNICCA(日本)
LEOTAX NICCA
いずれも海外で評価が高い日本製のコピーライカである。レオタックスは昭和光学製、ニッカはニッカカメラ製である。いずれも戦前、戦中は軍需工場で、昭和光学は陸軍系、ニッカの前身光学精機は海軍系といわれる。レオタックスは東京光学からトプコールを、ニッカは日本光学からニッコールを供給され、軍需用にライカのコピー機を作っていた。その生い立ちがアメリカのカードンに似ていることも面白い。

国内より海外で評価が高く、eBayでは程度の良いものだと700ドルから1,000ドル近い値が付く。紅旗やカードンが希少価値ゆえに高価であるのと違って、日本製の2機種はレンズを含めて実用性能の高さで高評価を受けているのは嬉しい。



というわけで、本物より高値が付くイミテーションライカを紹介してきたが、本物がすでに庶民には高嶺の花なのだから、私がこれらのカメラを手にすることは不可能に近い。しかし、窮すれば通ずで、レオタックスの普及版がヤフーオークションに出品された。しかも1万円以下である。思わず落札していた。

LeotaxK+Canon50mm F1.4
レオタックスKとキャノン50mmF1.4
レオタックスFの廉価版で1955年に発売された。スローシャッターと1/1000を省略。

手持ちのキャノンの大口径レンズを付けると、742gとずっしりと貫禄十分だ。肉厚のダイキャスト製で純正のライカに比べてひとまわり大きい。仕上げは非常に美しく、ロシアのゾルキーなどのコピーライカに比べると、質感は格段に上である。
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フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。
F5.6 1/100 iso400
現役の井戸
F5.6 1/50 iso400
神社
F5.6 1/200 iso400
秋葉原にて
F5.6 1/200 iso400
万世橋から

残念ながらシャッターが完全ではない。スローシャッターと1/500が調子が悪い。まあ、格安品なんだから文句は言えない。修理したら高くつくんだろうな。


Nicca+Niccor50mmF2
ニッカ+ニッコール50mmF2

ニッカである。光学精機、ニッポンカメラという戦前からのメーカーで、軍用のコピーライカを作っていた。日本光学と関係が深く、レンズはニッコールが供給されていた。

レオタックスよりひとまわり小さい。精巧な造りで高級感がある。シャッター音のシャッ!という音も小気味良い。レオタックスよりかなり軽い。ファインダーも劣化が少なく見やすい。

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フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。
F5.6 1/500 iso400
達磨と狸
F5.6 1/500 iso400
仏像ととっくり
F8.0 1/500 iso400
浅草にて
F8.0 1/500 iso400
お手々比べ

写真を撮っていて小気味よい。2重像合致式は意外に撮りやすい。これはかなり良いカメラだ。ニッカはヤシカに吸収され、さらに京セラになり、そして消えていった。古き良き時代の懐かしいカメラである。

TOWER Type-3(Nicca 3)+Super Wide-Heliar15mm F4.5

TOWER
という聞き慣れない刻印が軍艦部にある。ニッカがアメリカのシアーズ・ローバックへOEM供給していたモデルである。1950年代、まだ、メイドインジャパンに安物イメージがあった時代の、ニッカの仮の姿であった。ニッカブランドでニッコールレンズが付いていれば、高額になるのだが、幸か不幸かタワーブランドでボディーだけだったので格安で手に入った。裏蓋に小さくJAPNの表示がある。

VOIGTLANDER SWH 15mm F4.5
フォクトレンダーのSWH15mm
コシナ製の超広角レンズだ。
TOWER+SWH
ライカマウントだが距離計に連動しない。
超広角だから目測で十分なのだ。

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フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。
F16 1/500 iso400
冬の木
F8.0 1/500 iso400
昭和記念公園
F22 1/500 iso400
東京スカイツリー304m
F22 1/500 iso400
スカイツリーと特急
F16 1/500 iso400
アカンベー猫
F22 1/500 iso400
紅梅

使いこなすのが難しいレンズだが、非常に面白い効果が期待出来る。楽しいレンズで手放せない。至近距離での東京スカイツリーも、横位置で入ってしまう。



ルミックスGF1+キャノン50mmF1.4
キャノン50mmF1.4
キャノンの傑作レンズのひとつ。
単体の重量は245g。
ルミックスGF1とキャノンレンズ
大口径で堂々としている。
総重量は653g。

ライカマウントのレンズはGF1によく似合う。往年の名玉キャノン50mmF1.4の大口径レンズを付けて、佃島を撮った。ピントは合わせやすい方ではないが、クリアーで雰囲気のある描写をする。
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F11 1/1600 iso400
ビルと橋
F11 1/800 iso400
佃島
F8.0 1/640 iso400
ひだまり
F8.0 1/320 iso400
あ!
F8.0 1/250 iso400
理髪とミカン
F5.6 1/160 iso400
佃煮屋


ルミックスG1+フォクトレンダーSWH15mm
フォクトレンダーSWH15mmF4.5 SWHとルミックスG1

特異なデザインのレンズだから、G1にはあまり似合わない。30mmの広角画角になる。

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F8.0 1/400 iso100
隅田川から東京スカイツリー
F8.0 1/640 iso100
ある日の東京スカイツリー311M
F8.0 1/2000 iso800
真下から見た空樹
F5.6 1/160 iso800
末廣亭
F5.6 1/200 iso800
夜の新宿3丁目



妖しきカメラとマイクロフォーサーズの物語
1.金色の偽ライカ 2.本物より高価なコピーライカ 3.ダビデの星とプラクチカ
4.世界最小の一眼レフ(1) 5.潜望鏡で覗くライカ 6.裏窓を覗く左利き一眼レフ
7.世界最小の一眼レフ(2) 8.哀しきコンタックス 9.不合理なドイツカメラ
10.共産党革命記念ライカ 11.孤児院で作られたライカ 12.不当に安いキャノン

ルミックスGF1を5倍楽しむ法 オールドレンズを楽しむ 35mmカメラの世界史 クラシックカメラの物語

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