8.哀しきコンタックスの物語 2010.02.24
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かってコンタックスというカメラは世界最高のカメラであった。89mmの基線長を持つ距離計は、135mm望遠レンズでの撮影が可能で、基線長38mmのライカを大きく引き離していた。価格もライカより高価で、世界のカメラ界に誇り高く君臨していたのである。
そのコンタックスに悲劇が襲う。母国ドイツの敗戦である。それも西側占領地域にあったライツと違って、レンズのカールツアイスはイエナに、カメラのツアイスイコンはドレスデンにと、共に東側占領区域に属していたのがコンタックスの不幸であった。
東ドイツに進駐してきたソ連軍は、カールツアイスのレンズ設計図を押収、技術者をモスクワに連れ帰った。さらに、ツアイスイコンのコンタックス製造ラインを、技術者もろともにウクライナのキエフに移動させたのである。そこで、戦前と全く同じようにコンタックスを生産させた。ただ、ブランド名をKIEV(KИeВ)と変えて。
だから1947年から数年間のキエフは、ドイツ人技術者が戦時中の在庫部品を使って、コンタックス製造ラインで生産したコンタックスそのものなのである。政治体制の違う異境の地で、かって母国の誇りであったコンタックスを、敵国のブランドに変えて作らなければならなかったドイツのマイスターたち。コンタックスの哀しい物語の始まりであった。
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| Kiev(KИeВ)U(ソ連) |
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これは1951年製のキエフである。部品の在庫も使い果たし、ドイツから連れてこられた技術者たちも帰国し、そろそろソ連製に切り替わりつつあった頃のキエフである。しかし、生産設備はコンタックスそのものなのだから、まだ十分に真性コンタックスの輝きを維持している。
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| Jupiter-8 5cm F2.0 |
キエフの標準レンズである。モスクワのKMZ製だ。ツアイスのゾナー5cmF2のコピーで、3群6枚構成。1951年製でコーティングが施してある。
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ジュピター8 5cm F2.0
小型だがしっかりした作りだ。
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Kiev U
ウクライナのアーセナル工場で製造。
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写りは、ご覧のようにクリアーで爽やかだ。色合いも多少赤みがかるが、むしろ暖かく好ましい。しかし、レンズはともかく、このキエフは大変使いにくい。フィルムの巻き上げ、巻き戻しがゴリゴリという感じで、非常に力がいる。カメラを構えてフォーカスギアを回そうとすると、距離計窓を、つい指で隠してしまう。うーん、かなりストレスが溜まるカメラだ。
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(クリックすると大きくなります。) |
| フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。 |
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F5.6 1/500 iso400
オオム |
F8.0 1/500 iso400
五重塔 |
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F8.0 1/500 iso400
中山大仏 |
F8.0 1/500 iso400
上人像 |
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F5.6 1/500 iso400
紅梅 |
F5.6 1/500 iso400
元気な子 |
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| Jupiter-11 135mm F4.0 |
距離計の基線長が長いコンタックスは、135mmの望遠レンズが使える。ちなみにライカの限界は85mmであるという。このレンズはツアイスのゾナー135mmのデッドコピーだ。KOMZ(カザン光学)製である。
外爪マウントのレンズを、キエフやコンタックスに付けるには、注意がいる。ボディー側もレンズ側も必ず無限遠に合わせておく。それで、双方の赤い点を合わせて落とし込む。この時、きちんと入ったかどうか確認すること。それから反時回りにカチッと噛み合うまで回す。これをいい加減にすると、距離計が連動しなかったり、下手をするとボディーから外れなくなる。
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135mmを付けたキエフU |
ピントが甘いのはジュピターのせいではない。私の目が老眼で、2重像を合わせるのがかなりきついのだ。それでなくとも基線長ぎりぎりの性能を引き出すのだから、老眼には135mmは無理かもしれない。
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| (クリックすると大きくなります。) |
| フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。 |
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F8.0 1/500 iso400
帰り道 |
F8.0 1/500 iso400
鳩と女の子 |
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F8.0 1/500 iso400
中山大仏 |
F5.6 1/250 iso400
観音像 |
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F8.0 1/500 iso400
野良猫 |
F8.0 1/500 iso400
水仙 |
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| Contax Ua (西ドイツ) |
ツアイスイコンの本社は東側のドレスデンにあったが、有力工場のひとつが西側のシュトゥットガルトにあった。ソ連軍の進駐前に、ツアイスイコンの首脳陣は西側に逃れ、シュトゥットガルトで会社を再建した。社名は同じツアイスイコンである。同時期に同名の会社が東西に並存することになる。
東側ドレスデンのツアイスイコンは、その後、人民公社化されペンタコンという巨大企業になるが、ベルリンの壁崩壊と共に解散に追い込まれてしまう。
西側のツアイスイコンは、1950年にコンタックスの新型を発売する。このコンタックスUaは戦前のコンタックスを洗練させて登場した。しかし、世の中はすでに一眼レフの時代に突入しており、1961年には生産中止に追い込まれてしまう。その後、恐ろしく高価な一眼レフを出したりするが、時すでに遅く、ついに1972年にはカメラ製造を断念。以後コンタックスのブランドは、日本のメーカーに受け継がれていく。 |

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| Sonnar 5cm F1.5 |
コンタックスの標準レンズである。1932年発売以来、世界で最も明るいレンズとして、もてはやされ、ライカがズマリットで追いつくまで10年以上も世界最速を誇った。ソ連のジュピターや日本のニッコールなど、ゾナーのデッドコピーも数多く生産された。そのゾナーをコンタックスUaにつけて、実際に撮影してみた。
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ゾナー50mmF1.5
カールツアイスイエナの名玉。
伝説のハイスピードレンズだ。 |
Contax Ua
ゾナーを付けたコンタックス
精巧な精密機械の機能美に魅せられる。 |
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コンタックスUaは、キエフと違って非常に使いやすい。巻き上げ、巻き戻しは軽いし、スムースで気持ちが良い。距離計窓を指で隠すこともない。これは、戦前と戦後という時代の差なのだろうか、それともソ連とドイツという国柄の違いに由来する差なのだろうか。 |
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| フィルムはFUJIのSuperia PREMIUM400、現像とCDは45Digital Conびni西船橋店。 |
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F8.0 1/1250 iso400
五重塔 |
F8.0 1/500 iso400
紅梅 |
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F5.6 1/500 iso400
銀座の托鉢 |
F8.0 1/500 iso400
あくびする猫 |
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F8.0 1/1250 iso400
寒桜とカメラマン |
F8.0 1/500 iso400
落花した寒桜 |
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F8.0 1/250 iso400
松の若葉 |
F11 1/1250 iso400
ガソリンスタンド |
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| ルミックスG1にコンタックス用のレンズをつける |
マイクロフォーサーズのルミックスG1に、コンタックス用のレンズを付けてみる。レンジファインダーのコンタックスは、フランジバックが32mmと短く、これまではライカ用のアダプターがあっただけであった。それも5万円を上回る価格で。ところが、香港製のマイクロフォーサーズ用が1万円を切る価格で輸入されるようになった。朗報である。
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| Jupiter-11 135mm F4.0 |
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右:ジュピター11 135mm F4
左:RJ Nikon S-m4/3アダプター
新宿の中古カメラ市場で7千円で買った。
非常にきれいなレンズだった。
アダプターはmuk selectで7,800円。 |
ジュピターを付けたG1
このアダプターは外爪専用で、広角、
望遠レンズが使える。
内爪の標準レンズは着かないから要注意。
総重量は794gとかなり重くなる。 |
キエフやコンタックスのレンジファインダーで覗くのと違って、G1のEVFだと素晴らしくよく見える。ピントも実に合わせやすい。こんな時にデジタル技術のすごさを実感する。
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| (クリックすると大きくなります。) |
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F8.0 1/1600 iso800
帰り道 |
F8.0 1/1600 iso800
ヨーイ、ドン! |
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F8.0 1/2000 iso800
大仏の顔 |
F5.6 1/320 iso800
にらみ |
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F4.0 1/1250 iso400
ミカン |
F4.0 1/500 iso400
寒桜 |
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| Sonnar 5cm F1.5 |
ここまでくると、どうしてもゾナーF1.5をルミックスGF1につけたくなる。しかし、内爪でヘリコイドを持たないゾナーをつけるには、5万円以上もするライカ用のアダプターが必要だ。いくらなんでもアダプターが5万円は高すぎる。で、躊躇していたら、国際オークションeBayに220ドルで出品されていたのを見つけた。思わず衝動買いをしてしまった。
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ニコンS/CONTAX−ライカMアダプター
右はゾナー5cmF1.5
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ゾナーを付けたルミックスGF1
レイコールのライカM−M4/3と合体。
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| (クリックすると大きくなります。) |
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F2.0 1/125 iso100
サザンカ |
F5.6 1/400 iso200
カンザクラ |
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F5.6 1/1600 iso400
ツバキ |
F5.6 1/3200 iso400
オジャンコ |
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F5.6 1/320 iso200
ノラネコ |
F5.6 1/640 iso100
ノラネコ |